東レリサーチセンターでは、独自に開発した二次イオン質量分析用の標識体と、高空間分解能での質量イメージングが可能な国内初導入のNanoSIMS 50Lを組み合わせることで、コロナウイルスの標的タンパク質「ACE2」の細胞レベルでの可視化に成功いたしました。

【背景】
 2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、その後世界中に蔓延し、ワクチン接種が進む現在においても、感染の拡大を食い止められない状況にあります。その原因ウイルスであるSARS-CoV-2が、細胞に感染する際に標的として利用しているのが、アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)です。ACE2の発現分布は、ACE2に対する抗体を利用する免疫染色法により、知ることができます。しかしながら、従来の方法では、組織中に残る残血の影響やイメージングの分解能が問題となり、細胞レベルでの発現分布を明らかにすることは容易ではありませんでした。

 質量イメージングに利用されるSIMSは、固体表面へのイオンビーム(一次イオン)照射時に、スパッタリングにより表面から放出されるイオン(二次イオン)を検出することで、固体試料中に含まれる元素を直接検出する分析手法です。特に当社で保有するNanoSIMS 50Lは、プローブ径約50 nmのイオンビームと、透過率の高い質量分析系との併用により、質量イメージングとしては最高の空間分解能(<50 nm)で、最大7元素の同時分析が可能です。当社では、このNanoSIMS 50Lの性能を最大限引き出すため、イオンビームで効率的に二次イオンを放出する様々な標識体の合成にも取り組んできました。

【今回の成果】
 この度、当社では、ACE2の肺組織における局在部位を、細胞レベルで明らかにすることに成功しました。当社独自に開発した標識体修飾抗体を活用し、NanoSIMS 50Lの性能を最大限引き出すことによって、ACE2の高空間分解能での可視化を実現しました。


具体的な分析結果は、当社ホームページでご紹介しております。
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