Illumina社による次世代シーケンサーのマーケットの支配が続いており、技術開発の進歩は停滞している。 Illumina社は市場での優位性を固めるために、小型で低コストのシーケンサーMiniSeq の販売を開始した。Illumina社の唯一の弱点はリード長の短さであり、Illumina社の牙城を崩す可能性があるのはLong Readが可能なPacific Biosciences社とOxford Nanopore Technologies社の製品である。Pacific Biosciences社は、 昨年、従来のシステムよりも高性能、低コスト、小型化を実現したSequel Systemを発表した。しかし、Sequel Systemでも、データ出力量やコストでIllumina社に対抗することは不可能であり、ヒトゲノム解析ではIllumina社を補完する形で利用されるレベルにある。一方、Oxford Nanopore Technologies社は長く停滞していたが、ようやくMinION システムの市販を開始した。いまだに高いエラー率の問題を抱えているが、改善の傾向にある。Oxford Nanopore Technologies社は、DNAを通す超微細な穴のナノポアとしてMycobacterium smegmatis由来porin A (MspA)を用いていたが、Illumina社がMspAを用いたナノポアに関する特許の権利を取得し、 Oxford Nanopore Technologies社を特許侵害で訴えた。そこでOxford Nanopore Technologies社は、ナノポアとして大腸菌由来の蛋白質であるCsgGを用いることに変更した。Illumina社にとって皮肉な結果であるが、CsgGを用いたR9シリーズのナノポアによりシーケンス精度が大幅に向上することに成功した。Oxford Nanopore Technologies社はMinIONの市販を開始し、デスクトップ型のPromethIONのアーリーアクセスがスタートしたことから、2017年度にOxford Nanopore Technologies社の真価が明らかになると考えてよい。

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