アルツハイマー病は、高齢化が進む我が国だけの脅威ではなく、同じく老齢化が進む先進国やアジアの中進国の将来への不安材料となっています。この病気は患者本人に加えて、それを介護する家族や社会への負担が極めて大きい病気です。しかも、正常な認知能力を備える個人を前提とした民主主義や経済活動を損なうことも考えると今後の社会の在り方の変革をも迫る大きな要因となります。高齢化社会先進国の私たちこそ、この病に正対し、解決の道を見いだす責務を果たすべきとすら思っております。その鍵は、患者ゲノムに存在します。今週、新たにInternational Genomic Alzheimer’s Project (IGAP)によって5種類のアルツハイマー病関連遺伝子が報告されました。すぐに癌のドライバー遺伝子のように新薬開発につながるものではありませんが、少なくともこの病気の発症メカニズムに私たちはまた一歩肉薄することができたのです。βアミロイド蓄積以外の疾患プロセスが見えてきました。


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 族性のアルツハイマー病を引き起こす疾患関連遺伝子としては、アルツハイマー病患者の脳に蓄積するβアミロイドやその前駆体を切断する酵素(BACE1など)遺伝子、それにやはり患者の神経変性部位に蓄積するタウ蛋白質遺伝子などが知られていました。これによって、現在、βアミロイドに対する抗体医薬やBACE1阻害薬、それに抗タウ抗体やタウ蓄積阻害薬などの治験が進んでいますが、結果は必ずしも良好ではありません。βアミロイド蓄積→タウ・リン酸化→神経変性・死⇒脳内全般への伝播というアルツハイマー病の疾患プロセスを標的とする治療薬開発は難渋を極めています。現在では神経変性が起こる前の軽症患者を対象とした治験へと全体が傾いております。治療薬というよりも予防薬を目指す戦略です。

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