【日経バイオテクONLINE Vol.3097】

Mmの憂鬱、動脈硬化の古くて新しい治療標的、慢性炎症

(2019.02.07 10:30)1pt
宮田満

 ちょっと古い話ですが、武田薬品工業が生活習慣病の新薬で売り上げを急上昇させていた頃、同社中央研究所所長を歴任した大村栄之助元専務取締役と病気の根源的な原因について議論をしたことがありました。大村元専務の「そりゃ慢性炎症が万病の原因だ」と断言した言葉がまだ耳に残っています。リンフォカインやサイトカインの中和抗体が自己免疫疾患の治療薬として、1998年の「レミケード」(抗TNFα抗体)発売を皮切りに多数の長期抗炎症作用を持つ抗体医薬が商品化されました。蓄積したその症例を解析した結果、慢性炎症が動脈硬化の原因であることを証明する事例が集まってきました。今月発表された論文でもそれが裏付けられました。まさにバイオ医薬の普及によって大村元専務の洞察の正しさが証明されたのです。今後、これらの抗体が他の生活習慣病にも効果があるということが続々と報告されるかもしれません。ただし、よほどの重症例や家族性の患者を除き、高額な天然型抗体医薬が生活習慣病の治療に使われることは想像しにくいと考えます。慢性炎症を抑制する経口剤やサプリメント、そして慢性炎症を起こす生活習慣を正すデジタルセラピューティクス(アプリ)の出番です。

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