【日経バイオテクONLINE Vol.2721】

Wmの憂鬱、いつまで続ける新技術のモグラたたき、ゲノム編集で遺伝子治療臨床研究指針改定へ

(2017.07.11 12:00)1pt
宮田満

 我が国の政府がやっと重い腰を上げて、ゲノム編集の臨床研究に関するガイドライン作成の具体的な研究に乗り出しました。2017年7月5日、厚生科学審議会再生医療等評価部会が厚生労働特別研究事業として「ゲノム編集技術を取り入れた遺伝子治療等臨床研究における、品質、全性確保等に関する研究」実施を了承したためです。来年3月までにこの研究班が出すリポートに基づき、現在の遺伝子治療等臨床研究の見直しが行われることになります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000170143.html

 米国の食品医薬品局(FDA)や農務省のガイドラインの仕組みでは、例えばゲノム編集のような前例の無い技術で開発した細胞や農作物などを規制当局に申請すると、当局が調査議論した上で、組換えDNA研究指針の規制対象ではない(exemption)、つまり何も規制せずに実用化してよいという判断を公表してくれる場合があります。これによってゲノム編集で育種されたハイブリッドコーンやマッシュルームの実用化が解禁されました。遺伝子組換え農作物を道の条例で禁止している北海道でも、堂々と栽培されているのです。残念ながら、我が国ではこうした判断をする受け皿がなく、組換えDNAガイドラインの対象外だから審査しない、しかし、これは十分安全性が担保されているということにお墨付きを与えることを意味せず、ただ門前払いという意味です。そのため、規制を求めて本来自由を求めるべき研究者が政府にすがるというおかしな現象が生じているのです。今回のガイドラインの改定の始まりも、各学会の陳情などもあったでしょうが、米国でゲノム編集によって改変されたCART細胞療法を米国立衛生研究所(NIH)組換えDNA諮問委員会(RAC)が、2016年6月21日に審議し、臨床研究へゴーサインを出した前例が決定的でした。それにしても1年も経過してから、やっと厚生労働省が重い腰を上げたとしか見えないのです。本来ならば、もっとプロアクティブに、革新技術のリスク・ベネフィットを政府が責任を持って評価する受け皿を作るべきではないでしょうか? それが無くては、医療イノベーションなど浪速の夢のまた夢です。どうしても我が国の企業が後手を踏む、病巣の1つであります。

◎関連記事

歴史的夜が来る、第3世代ゲノム編集の臨床応用

https://bio.nikkeibp.co.jp/atclwm/column/16/06/20/00065/?ST=wm

 ここからは申し訳ありませんが有料で全文をお楽しみ願います。Wmの憂鬱Premiumサイト( https://bio.nikkeibp.co.jp/wm/ )からならお得な料金(個人カード払い限定、月間500円で読み放題)で購読いただけます。以前のバックナンバーもまとめてお読みいただけます。

※日経バイオテクONLINEの読者は、日経バイオテクONLINEのサイトから記事にアクセス願います。

ここから先は「日経バイオテク」「日経バイオテクONLINE」の
有料読者の方のみ、お読みいただけます。

ログイン 購読お申込み
  • 「日経バイオテクONLINE Webマスターの憂鬱Premium」への会員登録はこちら
  • 「日経バイオテクONLINE」についてはこちら

バックナンバー新着一覧

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧