【日経バイオテクONLINE Vol.2963】

ライフサイエンスの新規解析システムを開発するには何が必要?

(2018.07.11 08:00)
高橋厚妃

 先日、スマホ向けのコンテンツ配信事業などを手掛けるエムティーアイの方に取材する機会がありました。エムティーアイは、蛋白質の抗原部位を自動で予測するエピトープ解析システムの「MODELAGON(モデラゴン)」を独自に開発。同社は、2018年7月から「MODELAGON」の提供を開始しています。そのシステムの開発者に会いました。
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https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/07/10/04466/

 取材に行くまでは、アプリ開発などに強みを持つエムティーアイが、大学などとの共同研究も無しになぜエピトープ解析のシステムを独自に開発できたのかと不思議に思っていました。しかし取材してみると、開発者のうち1人は、試薬メーカーで研究用の抗体の受託製造サービスなどを長年手掛けていた経歴を持つ方でした。自身でエピトープの探索を行っており、その難しさをよく知っていると同時に、エピトープを同定する際のノウハウを持っておられます。

 その方の経験を踏まえた上で、システムの設計に関するアイデアが練られたそうです。さらにエムティーアイの社内には、蛋白質の立体構造の解析などを行っていた方がおり、その方と共同でアルゴリズムを組んだということでした。

 その取材の場で、遺伝子解析のシステムなどと比較して、商用の蛋白質の解析システムはまだまだ少ないと聞きました。蛋白質の解析は、構成するアミノ酸だけで判断するのは難しく、どんな立体構造になるのかを推定する必要があるため、遺伝子解析と比較して解析システムを構築するのもかなりハードルが高くなるようです。そのため、純粋なIT分野のエンジニアだけでは、どうしても開発が難しくなります。こういった複雑な現象を肌感覚で分かる開発者がエムティーアイの社内にいたことが、今回のシステム開発の成功に大きく影響したといってもよいでしょう。

 実は今、IT企業にライフサイエンス分野で活躍した方が転職するケースが少なくありません。ライフサイエンスのバックグラウンドと、ITのエンジニアが協力することで、画期的な技術やサービスが生まれることがあるでしょう。逆に、ライフサイエンスの企業もIT技術やIT分野の人材の取り込みを積極的に進めています。いずれのパターンにおいても、新規のアイデアを持つ人と、ライフサイエンスが分かった上でアルゴリズムを構築できるエンジニアがうまく出会うことが重要なのだと感じました。今後もそういったケースが続々とでてくることを期待しています。

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