【GreenInnovation Vol.352】

なごや生物多様性センターと農芸化学会、アグリゲノム産業研究会第6回例会のテーマは「知財」

(2018.03.22 08:00)
河田孝雄

 1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 今回は、4日前(2018年3月18日)まで4日間、名古屋で開催された日本農芸化学会2018年度大会と、今週月曜日(3月19日)に都内で開催されたアグリゲノム産業研究会第6回例会の話題をお届けします。

 農芸化学会では、農研機構生物機能利用研究部門遺伝子利用基盤研究領域組換え作物技術開発ユニット主席研究員の今井亮三さんが、内閣府SIPにてカネカと共同で取り組んでいるコムギのゲノム編集の成果を発表しました。記事にまとめました。

(2018.3.19)
農研機構とカネカ、カルス培養不要のiPB法でゲノム編集
コムギの成果を日本農芸化学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/03/19/04009/

 また、企業の出資による研究費を配る「農芸化学研究企画賞」の成果発表では、第14回(2017年)採択の成果として、農研機構食品生物機能開発研究領域分子生物機能ユニットの伊藤康博上級研究員が、Nature Plants誌2017年11月号にて発表した、トマトのゲノム編集の取り組みを紹介しました。この成果は同誌の表紙にも反映されたとのことです。この論文について、農研機構からプレスリリースは出していないようです。

Nat Plants. 2017 Nov;3(11):866-874. doi: 10.1038/s41477-017-0041-5. Epub 2017 Oct 30.

Re-evaluation of the rin mutation and the role of RIN in the induction of tomato ripening.

 この農芸化学会大会は、名城大学天白キャンパスで開催されました。数年前の春の学会が同キャンパスで開催された時には、桜が満開だったと記憶していますが、今回は開花直前というタイミングでした。

 最寄駅は地下鉄の塩釜口です。駅の案内に「なごや生物多様性センター」という記載がありましたので、伺ってみました。
 設立は2011年9月とのこと。2010年10月に、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されたことが契機になったようです。
http://www.kankyo-net.city.nagoya.jp/biodiversity/about.html

 名古屋議定書は、日本農芸化学会2018年度大会と、アグリゲノム産業研究会第6回例会の両方でキーワードとなっていました。

 主な対象が前者は微生物、後者は植物、という違いはありますが、名古屋議定書を守っていくことがいかに大変か、改めて知りました。

 生物多様性条約、名古屋議定書、カルタヘナ法、ゲノム編集の関係は今後も報じてまいります。

 アグリゲノム産業研究会の第6回例会には、コムギやイチゴ、サツマイモなどのゲノムde novo解読で実績があるDe Novo Magicを事業化しているイスラエルNRGene社のKobi Baruch副社長とHita Beb-Hamoセールスディレクターが、情報交換会から参加しました。

 Kobiさんは初来日、Hitaさんは日本は6回目。次の日曜日(3月25日)と月曜日に福岡市で開かれる日本育種学会に、参加するとのことです。

 このアグリゲノム産業研究会は、企業の方にとっても、情報交換の場として重要な活動では、と思います。第6回例会のプログラムは、次の通りでした。

○アグリバイオの「知財」を考える

「海外植物遺伝資源の探索・導入で気をつけていること」
奥泉久人 農業・食品産業技術総合研究機構・遺伝資源センター
「農業ビッグデータは誰のもの:相互利用の向こうに見える未来」        
本多 潔 中部大学

○アグリゲノム産業研究コミュニティを発展させるために

「研究会世話人からの提案」
磯部祥子 かずさDNA研究所

ディスカッション
進行 岩田洋佳 東京大学

 記事とりまとめに反映して参ります。

 このメール原稿をとりまとめているのは火曜日(3月20日)ですが、翌3月21日には、「論説フォーラム 徹底討論! 研究の潮目が変わった! SDGsは化学が主役に さぁ、始めよう!」が、日本大学理工学部船橋キャンパスで開催の日本化学会第98春季年会にて、開催されます。

 このフォーラムにて、JST研究開発戦略センターのセンター長である野依良治さんは「化学は科学を広げ、世界をつなぐ」と題した講演を行います。

 アグリゲノム、グリーンイノベーションの分野は、持続可能な開発目標(SDGs)と関係が深いです。SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。

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