【機能性食品 Vol.325】

筑波NIASサイエンスカフェでゲノム編集GABAトマト、輸入冷凍野菜は国民1人当たり年10kg

(2018.03.02 09:00)
河田孝雄
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 まずは、機能性表示食品のアップデイトです。この1週間で4件、新たな届け出受理が公表されました。

 消費者庁のデータベースにて、2018年2月23日(金)に2件(届出番号:C379とC380)、2月28日(水)に2件((届出番号:C381とC382)が追加されました。2月28日の2件からいよいよ、届出日が2018年に入りました。これで有効な機能性表示食品の届け出は1256件程度になったかと思います。

 この4件のうちで、富士フイルムのサプリメント「フラバンジェノール」(届出番号:C381、届出日:2018年1月4日)を紹介します。

 機能性関与成分は「松樹皮由来プロシアニジン(プロシアニジンB1として)」。「本品には、松樹皮由来プロシアニジン(プロシアニジンB1として)が含まれるので、悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能がある。そのため、悪玉(LDL)コレステロールが高めの方に適した食品」という旨を表示します。販売開始予定日は「2018年3月5日」と記載されています。

 松樹皮由来プロシアニジンを機能性関与成分とする機能性表示食品の届け出は、これが8件目で、全てサプリメントです。

 最初の届け出は、東洋新薬(福岡市博多区)の「メディコレス(4粒)」(A81、2015年8月3日)。いま調べたら、8件のうち4件目までは、「本品には、松樹皮由来プロシアニジン(プロシアニジンB1として)が含まれるので、総コレステロールや悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能がある。そのため、コレステロールが気になる方に適した食品」という表示です。

 5件目以降は、今回の富士フイルムと同じく、悪玉コレステロールに特化した表示です。

 富士フイルムの商品名「フラバンジェノール」は、そもそも東洋新薬の商標というのもおもしろいです。

 富士フイルムの機能性表示食品は13件目です。製造者の内訳は、アリメント工業(山梨県南部町)が7件(「メタバリアスリム」「飲む食べる私のサプリ」「飲むアスタキサンチン すっとねリッチ クロセチンプラス」「メタバリアS」「飲むアスタキサンチンAX」「ASTALIFT」「ビフィズス菌・BB-12」)、東洋新薬が2件(「メタバリア 葛の花イソフラボン」「フラバンジェノール」)、三生医薬(静岡県富士市)が2件(「EPA&DHA」「GABA」)、三協(静岡県富士市)が2件(「イチョウ葉エキス」「ブルーベリー&ルテイン」)ですね。

 さて、今回のメールでは、ストレス緩和や血圧高め対策に役立つアミノ酸であるGABA(ギャバ)の話題から、お届けします。

 農研機構が3月1日につくば市で開催したサイエンスカフェで、筑波大学助教の野中聡子さんが「GABAを増やそう-ゲノム編集によるトマトの高付加価値化-」と題した講演を行いました。

(2018.3.2)
「ヒトを幸せにする機能を植物に付与」、筑波大の野中助教が講演
冊子「ゲノム編集-新しい育種技術-」を農研機構が作成
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/03/01/03938/

 実は先週金曜日、野中さんのスーパーバイザーである筑波大学教授の江面浩さんの講演を、バイオインダストリー協会(JBA)でうかがいまして、2つの講演を合わせると、プロジェクトの狙いや進捗状況がよく分かりました。

 江面さんは、JBAの先端技術情報部会講演会(第2回)で講演なさいまして、講演タイトルは「地球規模課題と植物科学、そして産学連携」でした。

 なお、GABAの健康機能性については、ファーマフーズが3月23日に都内で開催する「第6回ギャバ・ストレス研究センター マスコミセミナー」で、興味深い発表があります。

(2018.2.15)
豆腐の初の機能性表示は血圧高め対策、ファーマフーズのGABAを配合
アサヒコが9月に販売開始予定
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/02/15/03865/

 さて3月1日のサイエンスカフェでは、農研機構が作成した冊子「ゲノム編集-新しい育種技術-」が配布されました。

 ゲノム編集の技術内容として、ゲノムの標的部位を“切断する”ことを強調した内容です。この点がちょっと気になりました。

 これまで日経バイオテクの特集記事などでも強調してきたつもりなのですが、ゲノム編集の本質的な特徴としては、例えば広辞苑などの膨大な文字列情報量の中から、標的の文字列をピンポイントで特定できる、ということで、切断することがマストではない、切断しない利用法もあります。

 ゲノム編集の第一世代といわれるジンクフィンガー(ZF)や第二世代のTALEは、他の制限酵素のハサミを連結することにより初めて、切るようになります。

 第三世代のCRISPR/Cas9は、切断する機能がもともとありますが、切断しないように改変したdCas9もいろいろと利用されています。

 実際に、切断しないタイプのゲノム編集ツールで育種中のイネの試験が2018年春から筑波で始まる予定です。
 いわゆる遺伝子組換え食品の表示については、消費者庁で検討が進んでいます。

(2018.2.22)
【GreenInnovation Vol.350】
食品にて表示が義務化されている「遺伝子組換え」とは、どの範囲か 世界に先駆け01年に始まった表示義務制度からの進化に難題
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/greenmail/18/02/21/00075/

 次世代DNAシーケンサー(NGS)などの技術進歩により、特定のDNA塩基配列を検出することは容易になってきています。

 多くの食べ物は、生物が原料ですので、高度精製などでDNAを含まないようにした加工食品以外は、基本的にDNAを検出できます。

 食塩は、食品の中で生物由来ではない、数少ない食品の1つですが、天然塩からは、DNAを検出できることが知られています。この場合は、コンタミしている微生物ということですけれども。

 特定のDNA塩基配列を検出できるかとうかということと、遺伝子組換えかどうかということとは、直接的なリンクはありません。

 つい最近、2017年産米の食味ランキングが発表されて、新潟県の魚沼産コシヒカリの食味ランキングが、1989年から続いていた「特A」から「A」に初めて転落したことが話題になりました。

 新潟県産コシヒカリは、13年前の2005年に、全面的にコシヒカリBLに作付転換されました。従来のコシヒカリと識別できるように、RAPD法などを用いてDNAマーカーを開発しました。これにより、コシヒカリ新潟BLを他県産のコシヒカリなどと識別することが可能になりました。

 最近の食べ物の話題では、野菜の国内生産量不足と価格高騰も注目されています。

 ハクサイやキャベツ、レタスの輸入数量は2018年1月に過去最高になったと報じられています。また、冷凍野菜の輸入量は2017年に過去最高を更新して、100万tを突破したとのこと。国民1人当たりおよそ年間に10kgを消費していると計算できます。

 その4割近くは、フライドポテトなどの原料となるジャガイモとのことですが、たくさんの輸入野菜をひごろ食べているのだと、改めて驚きました。

 遺伝子組換え食品の表示では、外来遺伝子などを特定して検出できる頑健なDNA塩基配列検出法の確立が欠かせません。ゲノム編集技術などの進歩により、遺伝子組換え技術を用いて育種するけれども、最終的に外来遺伝子を含まないものが続々と登場します。

 消費者庁の遺伝子組換え表示制度に関する検討会では、3月14日に開催される第10回検討会で、報告書がとりまとめられます。技術の進歩を見据えた検討が不可欠です。

(2018.2.19)
消費者庁の検討会、食品の「組換えでない」任意表示を厳格化
意図せざる混入率5%以下の呼称は3月14日の報告書案審議に持越し
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/02/19/03881/

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