【GreenInnovation Vol.349】

アグリバイオ最新情報【2018年1月】のハイライト

(2018.02.08 08:00)

アグリバイオ最新情報【2018年1月】のハイライト 
     ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 Donald Trump米大統領は米国農場局連盟(The American Farm Bureau Federation 、AFBF)大会で、「我々は、最先端のバイオテクノロジーを阻む規制を合理化し、農業者の革新的バイテク技術、革新的改革、繁栄、成長を自由に行えるようにする」と述べた。この演説は、年次大会に集まった7400人の農業者、牧畜業者に向けて行われた。彼の演説は、「過度の規制のコストを訴え、規制、労働、貿易などの農業者にとって特に重要な問題に触れた」ものだ。我が国の安倍総理にも同様のことを望みたいものである。特に遺伝子組換え作物に対しては感情論ばかりが広がっており、それが農業の近代化を阻む可能性があることを科学的にしっかりと見据え、憲法違反に近い条例は、やめるように進めてもらいたいものである。

 米食品医薬品局(FDA)は、「Huazhong農業大学が行った安全性及び栄養価の評価に基づいて、Huahhong No.1由来のヒトの食糧および動物用飼料は、その成分組成、安全性、およびその他の関連要素は、市場にある米穀由来のものと全く異なることはなく、遺伝子組換えHuahhong No.1は、FDAによる市場に出す前の評価や承認を必要とするものではない」としていることも素晴らしいことだ。Huahui-1 は、害虫抵抗性蛋白質Cry1Ab/Cry1A を発現するように遺伝子組換えしたもので鱗翅目害虫抵抗性がある。

 アフリカ諸国がようやく遺伝子組換え作物の重要性を認識して商業栽培に向かうのは、歓迎すべきことだ。1)国際熱帯農業研究所(IITA)は、ETHチューリッヒ植物バイオテクノロジーラボと協力して、遺伝子組換えキャッサバの隔離圃場試験を開始した。2)ナイジェリアは、ほぼ15年間の研究の結果Btササゲを栽培する最初の国になる準備を整えた。3)ケニアの農業畜産研究機関(KALRO)の科学者たちは、Btトウモロコシの性能を評価し、害虫の侵入と干ばつに対する持続可能な解決策を提供するために、国内で圃場試験を行っている。ケニアの農業者は、遺伝子組換えBtトウモロコシの商業的リリースを早急に行ってこの悲惨な状況を終わらせるように政府に要請している。「害虫や干ばつに対抗できるのであれば、遺伝子組換えトウモロコシの導入をためらうことはない」との意見もある中で、早急な商業栽培があってもしかるべきだろう。

 オーストラリア・ニュージーランド食品標準局(FSANZ)は、プロビタミンAイネ系統由来の食品の承認報告書を公表したが、これは、栽培を許可するものではないのは残念である。ゴールデンライスの栽培を広めるためにももう一歩の進展を期待したい。

 EUは、食物/飼料用に6種の遺伝子組換え作物を認可した。 ダイズ305423 x 40-3-2、
DAS-44406-6、ダイズFG72 x A5547-127、ダイズDAS-68416-4、ナタネMON88302×Ms8×Rf3、およびトウモロコシ1507(更新)である。相変わらず許可決定は栽培を対象としていない。いつまでこれを続けるのか、全く私には分からない。政治的問題だろうが、いったいいつまでこんなことをやるのだろうか? 一方では、ゲノム編集作物は遺伝子組換え食品法から除外されるべきだと言っている。これが分かるのならば、遺伝子組換えも十分の理解を示してほしいものだ。

 研究の段階にあるものだが、キャッサバのβカロチンを増やすことでプロビタミンA含量増加と商品寿命を延ばすことができるとのことである。これを主食するアフリカなどでは大きな福音である。また「CRISPR/Cas9技術を使用したイネの干ばつおよび塩耐性の改善」や「キウイフルーツに標的特異性突然変異を引き起こすように最適化したCRISPR/Cas9」などの研究は、今後のゲノム編集技術の利用を大幅に広げ、期待が持てるものと言える。技術の進歩に見合うようにするには、規制緩和に否定的な我が国の一般市民の科学技術への理解を進めることが重要である。このことを関係者、特に関係する科学者から情報発信し、政策を確立するよう望んでいるのは筆者だけではあるまい。

世界
2017年12月に世界食糧価格が低下

アフリカ
国際熱帯農業研究所が遺伝子組換えキャッサバの隔離圃場試験開始
ナイジェリアの農業者が遺伝子組換えササゲを栽培へ
ケニアの秋アワヨトウによる食害の解決策としてBtトウモロコシ推奨

南北アメリカ
TRUMP米大統領が米国農場局連盟大会でバイオテクノロジーに言及
米FDAが中国の遺伝子組換えイネを承認

アジア・太平洋
オーストラリア・ニュージーランド食品標準局がプロビタミンAイネ系統由来の食品の承認報告書を公表

ヨーロッパ
食品および飼料用の6つのGM作物を欧州委員会が承認
EU裁判所がゲノム編集作物は遺伝子組換え食品法から除外されるべきと主張

研究
キャッサバのβカロチンを増やしてプロビタミンA含量増と商品寿命延長を達成

新育種技術
CRISPR/Cas9技術を使用するイネの干ばつおよび塩耐性の改善
最適化されたCRISPR/Cas9でキウイフルーツに標的特異性突然変異を誘発

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/020700019/

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