【日経バイオテクONLINE Vol.2858】

オープンイノベーションを加速する化粧品企業

(2018.02.07 13:00)
高橋厚妃

 こんにちは、日経バイオテクの高橋厚妃です。次号2018年2月12日発行号では特集を担当し、機能性を高めた化粧品の研究開発についてまとめました。今回の取材を通して感じたことの1つは、化粧品企業によるオープンイノベーションが加速しているということです。

 近年、製薬企業はオープンイノベーションに積極的に取り組んでいる印象がありますが、化粧品企業は、自前主義の研究を重要視する企業も少なくないようです。今回の特集では、コーセーのグループ企業で高級化粧品の開発と販売を手掛けるアルビオンが、創薬ベンチャーのナノキャリアと製品を共同開発しているオープンイノベーションの例も紹介させていただきました。特集では、化粧品企業の動きに焦点を当ててまとめたのですが、取材を進めると、創薬や再生医療などを手掛けるバイオベンチャーにとっても、化粧品企業と組んで事業を行うことに大きな利点があることが分かりました。

 ヒト間葉系幹細胞(MSC)の開発や、研究用のiPS細胞の販売などを手掛けるリプロセルは、化粧品の企画や販売を手掛けるキレートジャパン(東京・新宿、佐藤美次代表取締役)と提携し、2016年11月に化粧品販売を手掛ける新会社リプロキレート(東京・新宿、佐藤美次代表取締役)を設立しました。キレートジャパンは2017年11月から、MSCを培養した培養液を含む美容液を染み込ませたパックを販売しています。リプロセルは、動物由来の成分や抗生物質を含まない方法でMSCを培養した培養液を製造し、キレートジャパンに提供しているそうです。

 リプロセルにとって、化粧品企業と組んで事業を行うメリットは何か――。創薬や再生医療等製品の臨床開発には長期間を要し、承認を得てから販売するまで時間がかかります。「それと比較すると、化粧品の開発は短くて済む。自社の強みの技術を応用でき、事業を開始してから短期で収益を見込めるため、財務の健全性につながる」とリプロセルの横山周史社長は話します。ただし、バイオの技術を利用した製品開発を行い、単独で化粧品の販売まで手掛けるのは一筋縄ではいかないようです。「化粧品の販売先は、リプロセルの顧客である研究者ではなく、マーケティングの方法も全く違うため、自社だけで手掛けるのは難しいと感じている」とも横山社長は話していました。

 さて、そもそも化粧品企業がオープンイノベーションに乗り出す背景などは、特集をお読みいただきたいと思いますが、化粧品企業とバイオベンチャー双方に魅力のある提携は、今後増えていく可能性がありそうです。

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