【GreenInnovation Vol.341】

アグリバイオ最新情報【2017年9月】のハイライト

(2017.10.12 08:00)

  アグリバイオ最新情報【2017年9月】のハイライト
     ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 今月のニュースでは、ヨーロッパの動きが目立つ。まずこれまでグリホサートに内分泌かく乱性があるとの報道があったが、欧州食品安全機関(EFSA)は、グリホサートの潜在的な内分泌かく乱性リスク評価のレビューを発表して、これを完全に否定した。現在の評価で、毒性学領域で利用可能な包括的なデータベースに基づいて、エストロゲン、アンドロゲン、甲状腺、またはステロイド生成の作用様式を通じて、グリホサートに内分泌かく乱作用が無いことを結論付けた。今手にできる生態的毒性(ecotox)研究についてこの結論と矛盾するものは無かった。グリホサートが全く安全ということである。

 次にEU裁判所は、遺伝子組換え生物(GMO)に関する偏見には根拠が無いと判決を9月13日に出した。これは、GMトウモロコシを栽培したいイタリア東北部の2人の農家が出した問題である。その中の1人の農業者Giorgio Fidenat氏は、2013年に成立したイタリアの法律のゆえに遺伝子組換えトウモロコシ(MON810)の栽培権を否定されたと訴えていた。9月13日に欧州連合裁判所(CJEU)は、イタリアの法律は法的根拠が無く、無効であると判断した。欧州連合裁判所(CJEU)判決は、合理的で科学的なアプローチを回復する素晴らしい機会を提供することとなった。この判決の後「科学的な社会を本当に望んでいるのか、偏見や誤解によることを望んでいるのか?」との質問が、イタリア国立研究評議会の分子微生物学者Roberto Defe氏とスウェーデン農業大学の研究員Dennis Eriksson氏から提示された。

 上の記事は、2017年8月29日にブラジルのサンパブロ南部農業評議会(CAS)の第34回定例会議に参加したアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、パラグアイ、ウルグアイの南米6カ国の農業大臣が、EUと中国に対してGMO輸入承認の遅れを避けるよう要請したことにも関連が出てくるだろう。

 新しい動きとしては、中国農業科学アカデミーの研究者は、キャベツに対する破壊的害虫であるコナガ(diamond moth, Plutella xylostella)に抵抗性を持たせるためにBt遺伝子を入れることに成功した話題がある。研究結果は、Horticulturaeに掲載されている。
また、作物ではないが、遺伝子組換えの蛾、蚊を使った研究が開放系で行われることは興味深い、また大きな進展とみることができる。その1つは、コナガの利用である。研究室で米Oxitec社によって開発された遺伝子組換え蛾の雄は、子孫を殺す「時限爆弾」遺伝子を持っているため、害虫制御農薬の使用を減少できる。コナガは、毎年数十億ドルの作物の被害をもたらしている。もう1つはデング熱、ジカ、チクングニャなどの蚊が媒介する伝染病に対抗するために、ブラジルで遺伝子組換え蚊の新しい群が放出されたことが挙げられる。

世界
米団体が、発展途上国における農業革新を支援するキャンペーン開始

アフリカ
遺伝子組換え作物の承認の遅れがアフリカでの栄養失調を増加

南北アメリカ
南米6カ国の農業大臣がEUと中国にGMO輸入承認の遅れを避けるよう要請

ヨーロッパ
EFSAがグリホサートには内分泌かく乱性がないと審査付きレビューで結論
EU裁判所は遺伝子組換え生物に関する偏見には根拠がないと判決

研究
中国CAASの科学者たちはコナガに抵抗性のある遺伝子組換えキャベツを開発

遺伝子組換え作物以外の話題
遺伝子組換え蛾の場試験をニューヨーク州で実施
ブラジルで遺伝子組換え蚊を疾病防止のために放出

文献備忘録
遺伝子組換えで改良された動物に関する新しいISAAAポケットK
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/100900014/">https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/100900014/

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