【GreenInnovation Vol.340】

群馬県の農家が開放系で組換えカイコ飼育開始、消費者庁の組換え食品表示の義務対象範囲の方向性固まる

(2017.09.28 08:00)
河田孝雄

 1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 今回はまず、群馬県の農家における遺伝子組換えカイコ飼育の取り組みについて紹介します。次いで、昨日(2017年9月27日)に都内で開催された消費者庁の第5回遺伝子組換え表示制度に関する検討会での検討内容を、メール後半にて紹介します。

 まずは群馬のカイコの話題です。群馬県は今週月曜日(9月25日)、同県の養蚕農家が世界で初めて、蛍光シルクを作る遺伝子組換えカイコの飼育を開始すると発表しました。

 遺伝子組換え生物を開放系で使用するカルタヘナ法の第一種使用規程の承認を農林水産大臣と環境大臣から9月22日付で受けました。群馬県蚕糸技術センターでは9月22日に卵から孵化したカイコを13日間、閉鎖系施設で人工飼料により稚蚕(3齢)まで育成し、次いで群馬県前橋市内の養蚕農家が10月5日から2週間ほど自ら保有する養蚕施設(開放系)で桑を食べさせて繭にします。

 このカルタヘナ法の申請は、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が中心になって行いました。

 組換えカイコで生産するのは、緑色蛍光蛋白質を含むシルク(緑色蛍光シルク)。農研機構が世界に先駆けて開発したカイコの遺伝子組換え育種技術が、「緑色蛍光蛋白質GFPの発見と開発」で08年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士の成果と共に、2014年6月に世界遺産に決定した「富岡製糸場と絹産業遺産群」がある群馬県で、結実するといえそうです。

 組換えカイコで生産する緑色蛍光シルクを事業化するのは、西陣織の老舗である細尾(京都市上京区)です。創業は元禄年間の1688年なので来年に創業330年を迎えます。細尾は、インテリア素材として商品化の検討を進めています。

 次は、昨日の組換え食品の表示の話題です。消費者庁の遺伝子組換え表示制度に関する検討会の第5回が開かれ、160人ほどの傍聴者が集まりました。第2回から第4回までのヒアリングにおける意見を踏まえた論点の整理を基に、どのような制度にしていくかの具体的な検討が第5回で始まりました。

 論点の整理では事務局から次の4点が提示され、委員会の同意を得ました。

 表示義務対象範囲では「表示義務対象品目の検討」と「表示義務対象原材料の範囲の検討」、表示方法では「消費者にとって分かりやすい『遺伝子組換え』及び『遺伝子組換え不分別』表示の検討」「『遺伝子組換えでない』表示をするための要件の検討」です。

 このうち第5回の検討対象は、前半の表示義務対象範囲でした。

 表示義務対象品目の検討では、遺伝子や蛋白質を検査で検出できる品目に限定して対象品目を増やす、という方向性にまとまりました。コーンフレークなどが新たな表示義務対象品目になりそうです。

 表示義務対象原材料の範囲の検討では、原材料の上位3品目に限る、意図せざる混入比率は5%まで、という現在の仕組みをそのまま続ける、という方向性に委員の多くが賛同しました。

 今回は、10人の委員が全員、出席しました。

※消費者庁「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」委員(50音順)

今村知明 奈良県立医科大学公衆衛生学講座教授

江口法生 日本スーパーマーケット協会 理事・事務局長

神林幸宏 全国農業協同組合連合会 食品品質管理・コンプライアンス部部長

近藤一成 国立医薬品・食品衛生研究所 生化学部 部長

澤木佐重子 全国消費生活相談員協会 食の研究会 代表

武石 徹 食品産業センター 企画調査部 部長

立川雅司 名古屋大学大学院 環境学研究科 教授

夏目智子 全国地域婦人団体連絡協議会 幹事

松岡萬里野 日本消費者協会 理事長

≪座長≫湯川剛一郎 東京海洋大学 学術研究院 食品生産科学部門 教授

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