新春展望2018

ゲノム編集技術が社会に急速に広まる、17年ぶりの遺伝子組換え食品の表示制度更新にも注目

(2018.01.04 08:00)
河田孝雄

 明けましておめでとうございます。昨年も取材などでお世話になりました。今年もよろしくお願いします。

 2018年のキーワードとして、改めて「ゲノム編集」を挙げます。塩基数が数ギガ(数十億)よりも大きいゲノムを持つ生物でも、標的部位を精密に編集できる技術が急速に発展しています。ゲノムサイズが数メガ程度の小さ目の細菌などの一部のみで可能だったゲノム編集が、手軽になってきました。2012年から毎年、日経バイオテクの特集記事にてゲノム編集をとりまとめていますが、今年もアップデイトしていきたいと考えております。

 ゲノムDNAの標的部位を指定・改変できる効率が高い効率のよいCRISPR/Cas9が広く利用され、DNA2重らせんの切断面に糊代(のりしろ)があるため編集しやすいCRISPR/Cas12a (Cpf1) 、RNAの編集ができるCRISPR/Cas13a(C2C2)、それに切断しないように改変したCRISPR/dCas9に機能分子を連結した塩基置換やエピゲノム編集などなど、開発が加速しています。

 産業応用では知的財産権の面から、蛋白質でRNAやDNAの塩基を認識できる日本独自技術のPPRなどに対する期待も高まっています。

 生物が持つ生体防御システムには大きなビジネスチャンスがあります。世界の医薬品市場1000兆円の4分の1を占める抗体医薬は、ヒトをはじめとする真核生物の生体防御システムを利用したものです。CRISPRは、原核生物の生体防御システムを利用しています。

 ゲノム編集技術は、生物の仕組みを調べるツールとしてだけでなく、生物の特性を高める育種技術としても急速に普及しています。

 CRISPRはドローンに似ていると3年前にメルマガにて紹介しましたが、ドローンは今や家電量販店などで何種類もの製品が販売され、スマート農業の実現にも寄与するようになってきました。CRISPRなど簡便なゲノム技術も、社会に急速に広まっていきます。

 2018年は、17年振りに日本で、遺伝子組換え食品の表示の仕組みが更新される年です。米国における表示制度の導入も、2018年後半に見込まれているようです。これまで人類が積み重ねてきた育種の歴史を踏まえ、合理的なコスト(費用、時間、資源、エネルギー)の仕組みになることを期待しています。

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