新春展望2018

「創薬大国」の実現に向けて

(2018.01.03 08:00)
三浦明=厚生労働省医政局経済課長

 新年明けましておめでとうございます。昨年は、4月に医政局経済課に、医療系ベンチャー企業等の支援策の企画立案などを行う「ベンチャー等支援戦略室」を設置し、10月にはベンチャー企業等のマッチングイベント「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット」を開催するなど、厚生労働省にとってのいわば、医療系ベンチャー元年といえる年であったかと思います。引き続き、医療系ベンチャーのエコシステムの確立に向けて、ベンチャー企業等からの相談にお応えし、必要な人材の紹介などの支援を行うための「ベンチャートータルサポート事業」の準備を進めているところです。

 さて、2018年は診療報酬改定だけでなく、介護報酬と障害福祉サービス等報酬も同時に改定を迎える、いわばトリプル改定の年に当たり、また、4月からは第7次医療計画が始まることから、医療・介護の現場にとっては変革の年になります。診療報酬については、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論が大詰めを迎えていますが、とりわけ薬価については、一昨年12月の4大臣合意による基本方針を踏まえ、薬価制度の抜本改革についての骨子が先月20日に中医協で了承されました。この抜本改革は、「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立するためのものであり、これを通じて、国民負担の軽減だけではなく、革新的新薬の創出を効率的・効果的に推進することにより、医療の質の向上を実現することを目指します。

 また、我が国の医薬品産業を、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するため、昨年12月22日に「医薬品産業強化総合戦略」を改訂し、競争力強化に向けた戦略の見直しを行いました。この戦略を機動的に実現していくために、今年度の補正予算案と来年度予算案を組み合わせて、緊急政策パッケージである「日本創薬力強化プラン」を策定しました。

 医療系ベンチャーの関連では、「バイオジャパン」と共催し、ご好評であった「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット」を来年度も開催することや、ベンチャー企業の置かれた状況にきめ細かな相談・支援を行うために「ベンチャートータルサポート事業」を充実することを盛り込んでいます。また、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)についても拡充がなされますが、それに伴い、医療系ベンチャー企業が出口戦略をもって短期間に行う実用化研究を支援する枠組みが新たに設けられる予定です。このような取組を通じて、日本発創薬シーズの生まれる研究開発環境の整備を進めていきたいと考えています。

 2018年は、新たな「医薬品産業強化総合戦略」の下、我が国の創薬力を高め、最終的には海外市場にも展開する「創薬大国」の実現に向けた年となるよう、力を尽くしてまいりたいと考えております。

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