新春展望2018

バイオバブルの頃とは違って落ち着きある熱気に期待

(2018.01.03 08:00)
多賀谷実=日本ベンチャーキャピタル 取締役 常務執行役員

 2017年は年明け早々に、UMNファーマとアステラス製薬の提携解消という衝撃的なニュースが飛び込んできました。その後も、未公開市場では他の業種での問題の余波もあったのか、監査法人の審査厳格化の影響で上場を計画していたバイオベンチャーが相次いで株式新規上場(IPO)の延期を余儀なくされるなど前半は重苦しい雰囲気が続きました。

 後半に入るとラクオリア創薬の株価が大きく上昇し始めたのを皮切りに、ペプチドリームなどの出資で特殊ペプチド原薬の製造などを行うペプチスターの発足、住友化学が核酸医薬の研究開発を手掛けるボナックに40億円を出資するなどインパクトのあるニュースも続きました。また富士フイルムのバイオベンチャーに対する積極投資、塩野義製薬のUMNファーマとの提携など今後のバイオ業界の発展につながる流れも出来てきました。

 日本の大企業は海外のバイオベンチャーばかり高値で買って、日本のベンチャーを相手にしないなどと言われていた時代とは随分様相が変わってきました。それだけ日本のバイオベンチャーの実力も上がってきたという証拠だと思います。

 もう1つの大きな潮流は、武田薬品工業をはじめとするカーブアウト(切り出し)型のベンチャーも数多く出てきたと思います。年々投資家の要求する水準やIPOに必要とされるハードルは上昇してきており、この流れは加速していくのではないかと思います。

 このところ、バイオベンチャーの上場は設立から10年以上が経過した比較的「老舗」の会社が多かったですが、2010年以降に設立されたバイオベンチャーも着実に力を蓄えてきています。今年はそのような新興勢力にも期待したいと思います。

 10年ちょっと前、バイオバブルと呼ばれた頃の熱狂とは違って今は落ち着きがあり、数は多くないものの厳選されてマーケットにデビューしており、堅調な流れは暫く続くのではないかと感じております。

 今年も、私どもの企業理念でもある「一燈照隅の精神」で引続き有望なベンチャーの発掘と育成に力を入れる一年にしていきたいと思います。

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