新春展望2018

2018年、私のキーワード

(2018.01.02 08:00)
福士博司=味の素代表取締役専務執行役員

 変化が速い時代に突入して久しく、しかも毎年加速している。気候変動、地政学上リスク、経済変動、テクノロジー進歩も‘超速’の勢いだ。新年にあたり、この時代を3つのキーワード(リスク・チャンス、安全・安心、ヘルスケア)を軸に論じてみたい。

 変化をチャンスとみるかリスクとみるか、日本人は外国人と比較し圧倒的に後者が強い。諸説あるが、一つは遺伝子に起因するというものだ。不安な時はリスクが目につく。ところが、日本人は不安軽減機能をもつ脳内ホルモンのセロトニン生成に関わる遺伝子が外国人よりも圧倒的に少ないそうだ。

 ホルモンが、リスク/チャンス判断に関わるのは由々しき問題だ。激しく変化する環境下では、‘先行’が競争の雌雄を決する。日本人が変化を不安と感じリスクと捉えている間に、外国企業にチャンスをもっていかれてしまうことになる。

‘不安’は、リスクへの自動応答に過ぎない。冷静にリスクとチャンスを分析し、回避と活用策の設定が必要だ。中国・韓国を見ると、急速な進歩に驚かされる。ロボティクス、AI、IoTなど日本の先を走っている。日本も一刻も早く、チャンスを掴む強さと、冷静なリスクマネジメントで‘不安’を打消す力を身に着けるべきだ。

 不安の逆が‘安全安心’である。この点で日本は高度成長期から今まで世界に君臨してきた。しかし、昨今不合格製品の使い回しや不正記録操作が相次ぎ、JAPAN QUALITYのブランド価値は低下している。不合格品を合格と偽っても、見せかけのコストダウンは微小なのに対し、信頼損失は巨大である。顧客が信頼する‘安全安心’な商品提供を通じた社会への貢献が大切なのである。味の素では、社会貢献の責任を持つことを利益創出とともに、企業理念に掲げ、ASV(Ajinomoto group Shared Value)と呼び、経営戦略の柱にしている。

 今や人生100年である。信長は人生50年。この2倍の差がチャンス・リスクの何れにせよ、人生100年の充実は世界共通の望みである。実際、海外でもヘルスケアへの関心は猛烈な勢いで高まり、衣食住の全場面において最重要価値観となっている。ここで日本の出番である。世界一長寿を支える‘安全安心’という良い価値観、日本食、生活習慣等の活用が、成長領域になりつつあるヘルスケアにおいて、大きなチャンスを生み出すものだから。こういう視点にたち、新年、諸活動をスタートさせたいものだ。

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