新春展望2018

日本発のバイオ創薬イノベーションで世界の患者に貢献を

(2018.01.02 08:00)
我妻利紀=第一三共研究開発本部オンコロジー統括部バイオ・癌免疫ラボラトリーラボラトリー長

 医薬品市場ではヒト化・ヒト抗体医薬品が一際大きな存在感を示している。一方、昨今の著しいバイオ創薬の技術革新は、全く新しい治療付加価値をもつ次世代の抗体医薬、核酸医薬そして細胞治療などの分野を生み出し、いずれも技術的未熟さに起因するリスクを孕みながらもその高まる期待感ともあいまって研究開発競争における主戦場と化してきた。この新しい戦場には未だ常勝者はいない。抗体医薬において後塵を拝してきた日本のバイオ創薬にとっては、国内で長い歴史を経て培われてきた発酵学や核酸化学などの実績と英知をフル活用し、復権そして先導的な立場を獲得しうる千歳一遇のチャンスが到来しているとも言える。

 このような状況変化を踏まえ我々第一三共は、特に抗体薬物複合体(ADC)技術の開発に取り組み、独自のADC技術(DXd-ADC技術)を確立した。また本技術を活用したADC医薬品候補を6品目創出、現在DS-8201, U3-1402の2品目の臨床試験を進めており、先行するDS-8201についてはその第一相試験で既存薬の効かない乳癌、胃癌等の患者において、有望な結果を確認している。また、癌免疫薬との併用試験や、新たな標的に対するADC品目を速やかに生み出すために、外部とのパートナリングにも積極的に取り組みを開始、その成果が少しずつ見えつつある。有望なADC品目がさらに生み出され、世界の癌患者さんにより広く貢献するシステムへと発展させるとともに、しっかりとまた速やかに患者さんにADC医薬品が届けられるよう、内外の関係者とともに準備を進めていく。

 また、DXd-ADCの次の世代のADC技術開発にも取り組んでいる。DXd-ADC薬では効果が十分ではない患者層に対する有効な治療法の提供を念頭においている。さらに将来を見据え、癌免疫薬や細胞治療など、ADC以外のバイオ創薬アプローチにも自社研究と外部の研究開発機関との連携・協働により挑戦の幅を広げている。日本発のバイオ創薬イノベーションを世界に届ける流れを、自社ADC品目で作りながら、新たな治療を待ち望んでいる癌患者さんのニーズを少しでも広くカバーできるよう次世代バイオ創薬という切り口で研究の引き出しを増やしていく、本年はその土台をしっかりと固めて行く年としたい。

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