新春展望2018

共創体験から飛躍の年へ

(2018.01.02 08:00)
塚原克平=エーザイ執行役員hhcデータクリエーションセンター長兼筑波研究所長

 当社の中期経営計画EWAY2025の2年目にあたる2017年は、世の中がAIの文字で埋め尽くされた年であったと思います。当社はデジタル技術の進展に伴うICTドリブンイノベーションをリードする組織として2016年4月にhhcデータクリエーションセンターを新設いたしました。おかげさまで変化の荒波にも対応できていると考えています。

 私達はヒューマンヘルスケア(hhc)を社の理念として掲げ、その具現化のために知識創造理論(Knowledge Creation)を全ての企業活動に取り入れてきました。ここで出発点となるのは暗黙知の共有化です。これは患者様と同じ時を過ごすことによってのみ達成できるとされています。言葉にできない患者様のリアリティをどうしたら理解することができるのか。そのための活動を私達は長年に渡り継続してきました。

 このことが研究スタイルにも表れています。この間、私達が大事にしてきたことは、AIのリアリティを感じ、距離感をつかむことでした。いくら巷でAIがすごいといっても、体験してみなければ何もわかりませんし、情報を鵜呑みにして無駄金を費やすことになりかねません。そこで私達は実際にディープラーニングによる細胞の画像解析を体験し、その計り知れない威力を体感しました。これが原動力となり、今では新薬開発の様々な場面にAIを活用しています。

 一方、リアルワールドデータについても、自分たちの手で実際に解析することにこだわりました。アウトソーシングも可能ですが、自ら行うことによって初めて、本当は何が大変なのか、何が足りないのかを理解することができます。さらに社内のナレッジを結集することにより新しい仮説を見出し、学会で発表するに至りました。このような「共創体験」を通じ新しいナレッジを獲得したおかげで、それが強みとなり、アカデミアやベンチャー企業の方々との協業の機会も次々と生まれています。

 2018年、私達は自らの経験知を高めることにこだわりながら、変化の波に対応し、スピード感を持って自らも変化していくことに挑戦します。さらには経験知をデジタル化しAIとして継承することにも取り組みます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

日経バイオテク お薦めの専門書籍・セミナー

  • 「世界の創薬パイプライン2018/2019」
    2018年7月31日発行!海外ベンチャーの創薬プロジェクトを大幅拡充。自社の研究テーマと関連するパイプラインの動向、創薬研究の方向性や競争力、開発状況の他社比較に有益なデータとして、自らのポジショニングを確認できます。
  • 「日経バイオ年鑑2018」
    最新データからわかる、バイオ分野の[開発][市場][産業]動向。バイオ事業戦略の頼れる味方。自社のR&D戦略を描くために、マクロな視点で将来を展望する一冊です。
  • 「バイオベンチャー大全 2017-2018」
    国内の未上場バイオベンチャーの企業データをすべて網羅しました。提携先を探し求める製薬会社にとって、投資先を探るベンチャーキャピタルにとって、自社の経営戦略を見極めるうえで有益となる重要情報を開示します。

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧