新春展望2018

Connected Industriesの1つとしてバイオを振興

(2018.01.01 08:00)
上村昌博=経済産業省生物化学産業課長 

 新年、明けましておめでとうございます。旧年中の様々なご縁に感謝いたしますとともに、今年が皆様にとって実り多き素晴らしい年と成りますことを祈念申し上げます。

 データを介して、企業同士などが連携して新たな付加価値を生み出す産業のあり方である、“Connected Industries”を経済産業省は提唱しています。世界経済がデジタル化により産業構造を大きく変化していく中、我が国においても、産業や組織を超え、競争力の源泉たるデータを利活用する基盤を整え、生産性向上、ビジネスモデルの変革等を促していくことが重要です。“Connected Industries”の実現は、高齢化、人口減少、エネルギー制約等社会問題を解決し、競争力強化に繋がり、リスク要因となるサイバーセキュリティ対策や、変革の基盤となる技術開発や人材の発掘育成にも寄与します。“Connected Industries”の5つの重点取組分野の一つに、「バイオ・素材」を掲げています。

 経済産業省の平成29年度補正予算案の中に、以下の項目を計上しており、バイオ分野での活用を目指して、様々なご検討を頂ければと考えております。ご質問やご提案があれば生物化学産業課の方へ、是非ご連絡を頂ければ幸いです。

○ 産業データ活用促進事業 予算案18.0億円(10/10補助、20件程)
 協調領域における産業データのさらなる活用(共有・共用)のため、その基盤となるデータ標準・互換性、API連携等を検証するフィージビリティや実証を支援します。
実世界の活動に係る「リアルデータ」について、①データの漏えい・セキュリティリスク、②メリットの不明確さ、③信頼できるデータの提供先が分からない等から、企業間データ共有は十分に進んでいません。このため、Connected Industries重要分野(バイオ・素材など)においてデータ共有を行う取組に対し、データベース構築及び利活用の基盤作りを支援します。データ共有を行う民間事業者によるフィージビリティ・スタディ・実証を支援し、「リアルデータ」協調の加速を図ります。具体的には、管理システム・利活用システムの開発、データ整備、セキュリティ対策、海外事業連携調査等を支援します。

○ AIシステム共同開発支援事業 予算案24.0億円(2/3補助、15件程)
 先端的ソリューションを有するAIベンチャーと、「バイオ・素材」等のConnected Industries重点分野における大手・中堅企業との間でデータ連携・共同事業を進めるには、「具体的なテーマが絞り込めない」「技術力やビジネスモデルの評価ができない」「過度な作り込みで、労働集約化・下請け化する」「検討に時間がかかりすぎる」等の課題があると考えられます。このため、ベンチャー側に主導権が渡る仕組み等の工夫により、適切な協業関係の構築を支援します。本事業では、AIベンチャーの潜在力が十分に発揮できる形で、グローバル展開を見据えたデータ連携・共同事業を加速するため、コンセプト検証実証導入、本格導入といった共同事業を支援します。

○ グローバル・ベンチャー・エコシステム加速化事業の内数 予算案36.3億円(1/2補助)
 プロトタイプ製作、量産化設計・試作、製造事業所ネットワーク、アクセラレーションのための支援機能(設備、人的サポート)等を有する者を支援し、量産化を見据えた設計・試作等に係る機能を有する製造ライン等を、本事業で国内に5件程度創出することを目指します。例えば、合成生物学のようにバイオ×デジタルの融合による生命現象の理解、新たな生物機能の活用といった取り組みにおいて、スマートセルによる機能性物質の量産化等に向けた設計・試作の試行錯誤ができる場の提供を行う事業等が想定されます。

 “Connected Industries”の一つしてのバイオ分野について、デジタル分野等との融合による新たな価値の創出を着実に進めて参りたいと考えています。また、政府においては、新たに、今春を目途に、バイオテクノロジーによるイノベーションを推進するための政府の新たな戦略を策定すべく、既に検討を開始しています。同じく今春には、第2回グローバル・バイオエコノミー・サミットがベルリンで開催されることになっており、日本の新たなバイオ戦略などの発信を積極的に行っていく機会になることが期待されます。

 予防・早期診断・健康管理・食の機能性活用等に関する新たな産業像の提示、バイオ医薬品製造技術の高度化、1社で出来ない事を協力して行う非競争領域での協調の場の創出、再生医療産業化、ゲノム編集技術や遺伝子治療技術に係る制度面での適切な対応、バイオ由来品の適切な利用の促進、バイオベンチャー振興など、各種の課題と大きな機会に対して、着実な政策展開を図っていきたいと考えております。

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧