新春展望2018

iPS細胞を使った再生医療の実現に向けて

(2018.01.01 08:00)
山中伸弥=京都大学iPS細胞研究所(CiRA)所長

 ヒトiPS細胞の論文発表から10年が過ぎ、iPS細胞をつかった医療応用の道筋もかなり見えてきました。

創薬研究分野ではiPS細胞を使った研究により、本来存在しないはずの場所に骨ができてしまう難病であるFOP(進行性骨化性線維異形成症)に対する薬の候補が見出され、2017年9月には治験が開始されました。まだ実際に効果があるかどうかはこれから検証が必要ですが、患者さんに投与されるまでにいたりました。

再生医療分野では、2017年2月に理化学研究所の高橋政代先生らのグループが、他人のiPS細胞由来の細胞を目の難病であるAMD(加齢黄斑変性)の患者さんに移植する手術を世界で初めて行いました。この時に使われた細胞はCiRAで、健康なボランティアの方から作製させて頂いたiPS細胞ストックを使いました。こうした細胞を使うことで、患者さん自身からiPS細胞を作って移植用の細胞を準備する自家移植と比較して、時間も費用も削減でき、多くの方に安心して使って頂ける医療を届けられると考えています。

 2018年には、私たちの研究所も含めて、複数の研究グループがiPS細胞を使った新しい治療法の臨床研究や治験を計画しています。iPS細胞ストックを使う研究グループもあります。こうした研究者や医療機関に安心して使って頂けるように、日本人の50%以上に拒絶反応が少なく移植できるようなiPS細胞ストックを作製し、提供してまいりたいと思います。

 引き続き皆様からのご理解とご支援をいただきながら、「一日も早く患者さんにiPS細胞技術を用いた新たな治療法を提供する」というミッションの遂行に励んでまいります。

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