新春展望2018

国際競争で勝ち抜くために

(2018.01.01 00:15)
塚本芳昭=一般財団法人バイオインダストリー協会(JBA)専務理事

 新年おめでとうございます。本年は日本の国際競争力に大きく関連するオープンイノベーション、バイオインダストリー大賞・奨励賞、バイオ戦略に関する動向にコメントしたいと思います。

 近年バイオインダストリー協会(JBA)では、日本が国際競争に勝っていく視点からオープンイノベーションを推進しており、そのインフラとして国内ではBioJapan・再生医療Japanを推進し、同時に海外ではBio International、BioEuropeをはじめ10以上のパートナリングイベントと提携しています。2017年はベルギーフランダース州を訪問し、同州のバイオ推進団体のFlandersBioとJBAとの間で協力協定を締結しました。公開情報で見ると過去2年間に日本とベルギーの間で少なくとも5件の提携(武田薬品工業-TiGenix社、小野薬品工業-Celyad社、アステラス製薬-Ogeda社、旭化成-Bone Therapeutics社、澁谷工業-Promethera Biosciences社)が発表されています。ベルギーは今後も提携先として有望なことから、2018年5月17日にゲント市で開催予定のKnowledge for Growthというパートナリングイベントに、日本企業にも多く参加いただき、ビジネスのチャンスを広げてもらいたいと思っています。2018年からJBAはメジャーなイベントだけでなく、ベルギーや米国サンディエゴ等におけるローカルなパートナリングイベントとの提携関係を深め、できる限り早期のシーズ発掘にお役に立てるようにしていきたいと考えております。日本企業ないしは日本人は欧米の企業・人々に比べネットワーク力が弱いと感じています。語学力の問題に加え、シャイな性格がネックになっている点も否めませんが、パートナリングイベントは入り口としては有効です。海外のパートナリングイベントの詳細はJBAのホームページから入手できますので是非ご検討ください。
 
 次にバイオインダストリー大賞・奨励賞に触れたいと思います。2017年にJBAは、バイオ分野の研究をイノベーションにつなげるためにこれらの賞を創設いたしました。第1回目としてバイオインダストリー大賞は本庶佑京都大学名誉教授が、バイオインダストリー奨励賞は岩城光宏理化学研究所上席研究員等10名の若手研究者が受賞されることとなり、2017年10月に開催されたBioJapan2017の会場で授与式が行われました。バイオインダストリーの発展にはアカデミアの研究活動の活発化が不可欠です。その意味でこうした表彰制度が重要であり、表彰を通じて受賞された研究者と産業界の共同研究等が加速されることを期待しています。第2回目は2018年1月10日より募集を開始させていただきますので、多くの方々にぜひ積極的な応募をお願いしたいと考えています。詳細はJBAホームページをご覧ください。

 国のバイオ戦略への期待について述べます。日本においてバイオの国家戦略という類のものは2002年と2008年に策定されましたが、特に2008年は策定後政権交代が生じ、事実上忘れ去られた経緯があります。近年、政府は、医療・医薬を中心とした健康・医療戦略を策定し、日本医療研究開発機構(AMED)の設立や、再生医療関連法制の制定等に結びついてきましたが、農林水産、食品、環境・エネルギー等も含む幅広いバイオの応用分野を包括した国家戦略はありませんでした。このため私が事務局長を務めるバイオ産業人会議(JABEX)では国家戦略策定を要望しておりましたが、2018年3月を目途にバイオ戦略を総合科学技術・イノベーション会議で策定することが2017年に閣議決定されました。政府のファンディング体制の充実、エコシステムの構築、バイオベンチャー育成、基礎・基盤研究の充実等課題は山積みですが、日本の国際競争力復活のきっかけになることを期待しています。

 最後に、バイオに関係する産学官の関係者のご発展とバイオ分野のイノベーションが日本から次々に生まれることを期待し、新春展望とさせていただきます。

参考)JBAホームページ
https://www.jba.or.jp/

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