月曜日のメールで、肝心の患者本位という思想を欠いたため、個別化医療が袋小路に入りつつあることをお示ししました。マルチバイオマーカーと複数の抗がん剤の選択が、個別に臨床開発されていることにより、もはやスクリーニング対象となる患者集団が不足しつつあり、こうした重複ばかりの臨床開発が医療経済的にも早晩限界に達することが見えているのです。これが個別化医療の罠であります。どんな技術革新でも、患者さんを中心にソリューションを最適コストで返すことができなくては幸福の増大(これこそがイノベーションの真の目的)の実現には繋がりません。Personalized Medicineこそ、患者自身のセルフケアや予防義務をも含む、患者本位の治療と予防という意味で訳語を選択すべきだったのです。私たち日経バイオテクはその意味を汲み、あくまでも個の医療と翻訳し続けています。そして今では唯一のメディアになってしまいましたが。。是非とも読者の皆さんにはこの思想を理解いただき、今後、個別化医療という浅薄で、機械的な訳語を捨て、個の医療という言葉をご愛用いただきたいと願っています。個別化医療など、あまりに直訳過ぎて、明治時代に猛烈な西洋文明が押し寄せ、それを国語として骨太に咀嚼していった先人達に侮りを受けることは必然です。Economyを経世済民から経済と翻訳した、先達の努力と智恵を私たちは汗を掻きながら継承しなくてはなりません。では具体的に、個別化医療の罠から抜け出す秘策はあるのか?実は重大なヒントが、米国のがん研究・政策支援の非営利団体であるFriends of Cancer Research(FOCR)が、2013年11月から臨床試験に着手したMaster Protocol(MP)に、秘められていたのです。わが国でも早急に個別化医療の臨床試験のあり方を再点検する必要があると、私は確信しています。

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