【日経バイオテクONLINE Vol.2644】

Wmの憂鬱、ディオバン事件無罪判決、臨床試験捏造に無力な薬事法

(2017.03.21 08:00)1pt
宮田満

 認知症も重大ですが、治験や臨床研究のインフラがボロボロなのも我が国の火急の問題です。先週の木曜日、東京地方裁判所は論文捏造(ねつぞう)による「ディオバン事件」で薬事法(現医薬機法)違反を問われたノバルティスファーマの元社員、白橋伸雄被告に無罪を言い渡しました。このメールでも、裁判で有罪を勝ち取ることはできないと予測しておりましたが、案の定の判決です。実際は、同被告がデータ捏造に関わり、捏造を認定された論文の策定にも関与していたことを東京地裁が事実認定しているのにもかかわらずの無罪判決です。これは、薬事法では医学論文の捏造や臨床試験データの捏造は裁けないことを意味しています。無罪判決の最大の理由は、医学論文は広告ではない。今回、厚生労働省が告発した薬事法違反は不当広告であり、捏造はあっても罪にはならないというものでした。ディオバン事件以降頻発し続けている論文捏造事件の連鎖を見ると、医療関係者や大学関係者、学会の自主規制で論文捏造を防ぎ、我が国の臨床試験の質を向上させることは到底不可能です。だからこそ、政府が提出している臨床研究法案を今国会で何としても成立させなくてはならないのです。



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