【日経バイオテクONLINE Vol.2640】

Wmの憂鬱、アルツハイマー病、土壇場のAβ仮説、薄弱な臨床基盤

(2017.03.14 12:00)1pt
宮田満

「もうアミロイドβ(Aβ)には興味は無い。タウに関係する研究を求めている」

 昨日、都内で米AbbVie社が全国の大学からTLO関係者を招きオープンイノベーションの会議を開催しました。そこで提携の担当者から飛び出た発言がこれでした。もうアルツハイマー病(AD)治療薬の標的としてAβ仮説の魅力は薄れ、直接的に神経死を引き起こすタウ蛋白質のリン酸化などに、研究開発の力点を移したという宣言です。実際、昨年の11月から今年の2月にかけて抗Aβ(モノマー)抗体solanezmab(米Eli Lilly社)とAβを体内で生成する酵素(BACE1)阻害薬、Verubecestat(米Merck社)がいずれもフェーズIII治験で失敗、両者とも初期もしくは中等度のAD患者に対する開発を中断したことが背景にあります。もう認知障害が確認されたAD患者はいくら初期だとはいえ、現在のAβ仮説を標的とした治療薬では治せないことがほぼコンセンサスになったのです。時代は認知障害を確定診断される前のプロドローマルAD患者を対象とした治療へ、つまり発症前の先制治療へと急速に変貌しつつあります。言葉を変えれば、土壇場までAβ仮説が追い詰められつつあるともいえるのです。こうした状況を背景に、3月9日、エーザイの記者懇談会が開催されました。AD治療薬に社運を懸けるエーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)が語ったことは……。

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