新春展望、小澤洋介=ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング代表取締役社長執行役員

何のために仕事をしているか

(2016.01.02 08:26)

 ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の科学面の父であり、私の心の支えであったハーバード大学医学部名誉教授Howard Green先生が、2015年10月31日に逝去されました。享年90歳。Green先生はマウス由来の特殊な細胞を利用した培養表皮を発明し、世界で初めて再生医療を臨床応用した偉大な科学者であります。

 2015年夏、J-TECは台湾政府の依頼に基づき、台湾八仙水上公園で発生した重症熱傷患者にGreen型培養表皮(製品名:自家培養表皮ジェイス)を無償提供し、台湾人5名の救命に貢献しました。この時、Green先生は当社の行動に無条件で賛同してくださいました。しかし、10月初旬に台湾政府からGreen先生に贈られた感謝状を見ることなく、Green先生は他界されました。私は、年末に米国Bostonを訪問し、先生のお墓に台湾政府から贈られた感謝状を供えました。Green夫人の肩を抱き二人で涙しながら、静かに深くGreen先生を偲びました。

 2016年のJ-TECを語る前に、先日、ビジネスの原点に触れた出来事がありました。塩崎厚生労働大臣も出席した再生医療を含めた日本の保健医療について考える会合で、席を隣にした大手医療機器メーカーの社長様の言葉に、私は目が覚めました。規制当局との折衝の仕方やロビー活動の方法について、私が社長様に尋ねたところ、
「小澤さん、あなたは間違っている。規制対応、社内調整、業界活動も大切だが、我々医療関係者は患者様のことを最優先に考えて仕事をすべきではありませんか」
と冷静に回答されました。あたりまえであり、頭では理解しているつもりの、もしかしたら本気で追求していなかった仕事の原点に係る指導をいただきました。感謝です。

 さて2016年のJ-TECですが、追い風とともに競争環境が激しくなりつつある再生医療業界の中で、果実を獲得する年にしたいです。何の果実か。生前のGreen先生が当社に次のような助言をくださいました。

 「本気で取り組むこと。途中でやめないこと。良いことを沢山すること。そして企業として適切な利益を獲得しなさい」

 併せて、先の大手医療機器メーカー社長様のご助言を心に刻み、J-TECは何のために仕事をしているかの原点を当社社員とともに追求します。1年後の日経バイオテク新春展望での報告が楽しみです。

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