新年明けましておめでとうございます。日本医療研究開発機構(AMED)が設立され1年が経つ2016年は、創薬における国際競争力の確保が大きな議論になると考えています。安倍政権の成長戦略のコアであるAMEDからは、多くのアカデミア発の創薬シーズが生まれてくると見込まれますが、その産業化のプロセスに多くの問題が生じることが予想されます。理想的には日本の製薬企業がAMEDから生まれるアカデミア発の創薬シーズを活用し、産業化が活発に進むことが期待されますが、既存の日本企業のみで全てのシーズを産業化することが困難なケースも多く生ずると思われます。

 そうしたケースでは、バイオベンチャーの役割が非常に重要になってくると思います。今日、日本には579社のバイオベンチャーが存在しますが、活発な活動を展開している創薬系バイオベンチャーは100社にも満たないのも事実です。しかしながら中長期的な創薬分野の国際競争力向上の視点からもバイオベンチャーの役割はますます重要となり、国の関係機関、更には製薬企業自身がバイオベンチャー育成にどう取り組むかが課題となってくると思います。

 国の関係機関においては、バイオベンチャーへの投資の拡大と、関連機関の施策連動により有力バイオベンチャーに対する重点投資が求められますが、国の投資のみでバイオベンチャーが育つことは事実上不可能であるため、民間投資をどのように誘発するのかという視点からの取り組みが求められます。企業版エンジェル税制を、より使い易くする努力も必要と思われます。

 一方、製薬企業自身によるバイオベンチャー育成も重要ではないかと思います。近年、欧米のビッグファーマは、米Johnson & Johnson社をはじめとして初期段階のバイオベンチャー育成にも取り組み、育てたバイオベンチャーの一部と初期段階から提携するなどの活動を活発化させて成果を生んでいる事例も散見されます。バイオベンチャーの値段が高くなり過ぎ、既存バイオベンチャーからの創薬シーズの持ち込みを待っているだけではかえってリスクが高くなってしまったことから、ビッグファーマはバイオベンチャーのインキュベーションから取り組み始めたようですが、日本の製薬企業も取り組んでみるだけの価値はあるように思われます。

 2016年はアベノミクスの成果も問われますが、その成否は官民総力を挙げての取り組みができるかどうかにかかっています。各セクターが傍観者ではなく主体者として取り組むことにより明るい未来が開けるものと確信しています。バイオインダストリー協会も、BioJapanのみならず年間通した活動を通じてバイオベンチャー施策を推進して参りますので、関係者のご支援をお願いし、新年のご挨拶とさせていただきます。