2013年にバイオ銘柄が躍進して以降、去年は再びバイオ銘柄が東証マザーズを上回るパフォーマンスを発揮しました。嬉しいことに、足元でバイオ銘柄に関心を持ち、腰を据えて勉強したいという機関投資家が増えていますが、一方で、膨らませた期待感への成果が出せなければ、投資家はまた離れていくことも忘れてはなりません。後述しますが、今後3年間が日本のバイオセクターにとっての正念場で、その最初の1年目が正に今年、2016年から始まるとみています。

 2015年の一年間では、日本のバイオ株指数はプラス約7%となり、同時期のマザーズ指数マイナス2%を大きく上回りました。ペプチドリームやそーせいグループ、カルナバイオサイエンスなどの株価が続伸した結果ですが、反面、6割強のバイオ銘柄の株価は低迷しました。バイオはハイリスク・ハイリターンのビジネスですが、株価の方向性も二極化しており、今後もこの傾向は続くでしょう。足元でも既に、バイオセクターの合計時価総額(約1.3兆円)のうち、約75%が上位10社(全42社中)に偏重する構造になっています。

 これらの上位10社は、言い換えれば現在のバイオセクターの牽引役ですが、2016年からの3年間で、重要パイプラインのピボタル試験結果や技術マネタイズ加速など、企業として大きな変曲点を迎えます。ペプチドリームの特殊ペプチドの臨床試験、そーせいグループのStaR技術のマネタイズ、タカラバイオのHF10とCAR-T、サンバイオのSB623、J-TECの自家細胞世界初の黒字化、ナノキャリアのNK105とNC-6004などです。日本のバイオセクター全体にとっても、正にこれまでの真価が問われる正念場です。

 日本でのバイオ銘柄全体への市場からの評価は、2013年以降の一連の再生医療関連の法改正に伴って大きく改善しましたが、多くの投資家の視点は、企業業績と株価の両面でまだ足元、短期を重視しています。アナリストとしては、バイオ企業のファンダメンタルズは技術力やパイプライン、マネジメントチームなどで推し量るべきで、短期的成果で判断すべきではないと感じる反面、米国のように既存の製薬企業を超える大きな成功ケースが無い中では、投資家がよりリスクを意識せざるを得ないのも理解できます。

 バイオ企業の足元のニュースや規模の大小に関わらず、セクター全体の有望性が評価され、中長期の成長ストーリーが描けるようになるには、成功を収めたと認識される企業の誕生が必要です。米国から20年、30年遅れとも揶揄される日本のバイオ産業も、足元で前述の牽引役を中心に、何社もの企業が世界レベルのバイオ企業として変貌を遂げようとしています。今後、これらの企業が世界で大きく飛躍し、産業として新たなステージに入ることができるかの試金石、その1年目が正に2016年となるでしょう。