近年、医薬品に求められる社会的ニーズは、サイエンスや技術革新の進歩などにより大きく変化しつつあります。例えば、癌や中枢神経系などのアンメットメディカルニーズがより高い疾患や、今まで十分な治療法が確立していない重篤な希少疾患の治療および患者さん一人ひとりの個性にかなった個別化医療への対応などです。これら疾患治療の研究開発には、多様な新しい技術が必要となりますが、次世代の医療に対応する革新的医薬品を創生するためには高度な技術を保有するバイオベンチャー企業やアカデミア等との連携、協働が今や不可欠になってきています。

 当社は癌、循環代謝、バイオ医薬を中心にパイプラインの充実と成果の早期創出を目指しています。

 癌領域では、当社米国グループ会社であるPlexxikon社、Ambit Biosciences社、米国バイオベンチャー企業のArQule社がそれぞれ創生したキナーゼ阻害薬のペキシダルチニブ、キザルチニブ、チバンチニブの開発を各社と協働して進めていますが、これらはいずれも米食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)より希少疾患病用医薬品の指定を受けており、このうちペキシダルチニブは、腱滑膜巨細胞腫の治療に対してFDAから画期的治療薬(Breakthrough Therapy)の指定も受けています。我々はこれらの制度を通じて一日も早く患者さんに治療薬をお届けできるよう、アンメットメディカルニーズの高い希少疾患の治療にも貢献していきたいと考えています。

 循環代謝領域では、当社の主力品として期待している自社創生の抗凝固薬エドキサバンが昨年米国、欧州での承認を取得することができました。血栓の形成を抑制するエドキサバンおよび抗血小板薬プラスグレルに加えて、形成された血栓の線溶促進を作用機序とするDS-1040、DS-9231の開発を進めることで、当社は血栓症のトータルケアを目指していきます。

 また、バイオ医薬の分野では、抗HER2抗体と抗癌作用を有する薬物を結合させた画期的な複合体であるDS-8201の臨床試験にも取組んでいます。
医薬品に求められる有効性・安全性の水準はより高度化し、創薬に関連する様々なサイエンスも成熟化が進んでいます。また、新薬開発に際して満たすべきニーズも医師の視点のみならず患者視点でも求められるよう変化しており、医薬品の研究開発は益々難しくなってきています。我々は一人ひとりが当事者意識をもって様々な環境変化をしっかりと認識し、その変化を上回るスピード感で一歩先の打ち手を考え、そして行動していかなければなりません。

 当社は、これからも世界の多様な医療ニーズに応え、持続的成長力を備えたGlobal Pharma Innovatorとして、革新的新薬の迅速かつ継続的な創出を進めていきます。