最近、遺伝子を正確かつ効率的に改変できる「ゲノム編集技術」が脚光を浴びつつあり、農林水産分野においても農作物の育種改良分野への利用が図られつつあります。

 現在、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、次世代農林水産業創造技術のひとつとして、ゲノム編集技術等を利用した農林水産物の新たな育種体系を確立することとし、平成30年度までに「強み」のある国産ゲノム編集技術の創出、世界最高の単収水準を実現する超多収米や機能性成分に富んだトマト等の開発、養殖に適したマグロ品種の開発等を進めることとしています。

 農林水産省では、それら研究成果を速やかに国内農業及び関連産業の振興に役立てるべく、平成28年度から新たに「知」の集積と活用の場による革新的技術創造促進事業を措置し、今後、産業界等への橋渡しを推進することとしています。

 一方、この急速に進むゲノム編集技術の産業利用に当たっては、社会との調和をどのように進め、人類の発展に活かしていくかといった社会的な議論が遅れており、政府部内やカデミア側においても議論や検討が始まったばかりであります。ゲノム編集技術の利用に対して、社会のマネージメントをどのように働かされるべきか、また、それら研究開発に携わる関係者が有すべき倫理感とは何か、社会との調整を図るための規制は必要かなど、本年度は、科学技術と社会とのあり方を問い直す重要な一年になるのではないかと存じています。

 遺伝子組換え農作物にみられた過去の教訓も活かしつつ、バイテク分野においても科学技術の恩恵を多くの国民の方々にお届けできるよう、こうした課題にも果敢に取り組んで参りたいと存じますので、関係する皆さま方の御支援・御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。