昨年11月に施行された種々の法改正を受け、今年は細胞治療の開発に関するニュースが目立った。とりわけ改正薬事法(薬機法)の下に「条件・期限付き承認制度」の枠組みが作られ、薬事承認の迅速化が期待されている。この制度施行後に承認されたテルモ及びJCRの再生医療等製品のうち、テルモの「ハートシート」は初の期限付承認(5年間)の製品となった。このように保険収載まで可能な新しい法体系を運用させようとする規制当局の積極的な姿勢が印象に残った。

 また「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療新法)」施行のもと、多くの施設から第1種・第2種・第3種再生医療の臨床研究や自由診療の200件を超える再生医療等提供計画が提出又は届出され、特定細胞加工物製造事業者の届出は2000件を超えた(2015年10月末)。特に第3種再生医療の件数が多く、これより再生医療・細胞治療・美容療法への潜在的なニーズの強さを知ると共に、医師法下で実施され表に出ていなかった各種細胞治療行為の実態の一端を見ることとなった。この新法下での医療行為、特に第3種再生医療の臨床行為に対して、その安全性・有効性をどのように規制・評価するのか課題である。また新法下での細胞製剤製造行為に対しては、臨床研究の枠組みでもGCTP省令順守・準拠で義務付けられている。それをどのように検証するか、また細胞製造の受託業務がどの程度businessとして成り立つのか、今後とも注意深く見ておきたい。

 ただ現在の細胞製造自体、細胞製品の安全性が担保されているとは言い難く、品質管理もverificationやquality by testing (QbT)に基づいて行われ、製造コストも高く産業として十分に成立しているとは言い難い。来年の抱負としては、細胞製剤製造を産業として根付かせるため製造工程の自動制御化、製造工程分析技術(Process Analytical Technology :PAT)導入による、quality by design (QbD)の実現化や作製される細胞に製造工程、使用原材料、QC検査結果、環境モニター、使用機器の記録、従事者の記録等情報が紐づけされる工程管理システムCell centric IT solutionなどの研究開発を行いたい。これらの開発を通じ、将来的には細胞製剤という製品の製造情報がER/ESとして記録・保存され、端末で世界と繋がるInternet of Things (IoT) の構成要素となり、医療産業界の仲間入りを果たすことを目指している。