創薬を取り巻く環境はこの数年で大きく変わりました。より難易度の高い創薬標的への挑戦、細胞治療などに代表される新たなモダリティや多様な新規技術の取り込みなど、急激な変化にスピーディかつ柔軟に対応することが求められています。この傾向は今後も変わることなく、変化のスピードや振幅はますます拡大していくと考えております。

 このような変化をチャンスに変えるため、自社研究能力の向上を目指した研究マネジメント改革や外部の多くのイノベーションを機動的に取り込むためのネットワーク型研究体制の構築など、さまざまな研究改革を推進しております。例えば昨年5月、新たな重点研究領域として加えた筋疾患領域と眼科領域の2つの領域を、競争力のある速さで立ち上げることができたのも、これまでの改革の成果の一つと考えております。

 本年も引き続き改革を進めることで、既存領域研究の充実を図るとともに、再生医療など新たな領域への挑戦を加速してまいります。特に再生医療領域では、再生医療等安全性確保法並びに医薬品医療機器法が2014年に施行され、それに沿って申請された製品が昨年初めて承認されるなど急速な進展がありました。再生医療(細胞医療)の実用化へ向けた動きを創薬研究の追い風とできるよう、これからもスピード感をもって取り組みたいと考えております。また、本年4月には、大阪にある開発研究機能のつくば研究センターへの集約が完了する予定です。これにより、自社研究におけるOperational Excellenceの向上が図られ、さらなる創薬研究力強化につながるものと確信しております。

 本年も、新薬ビジネスを核として変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値へ変えるためのイノベーション創出に挑戦してまいります。

 最後に、我々は国境を超えたネットワーク型研究体制の構築を進めておりますが、同時に日本医療研究開発機構(AMED)によって推進されるオールジャパン体制での創薬研究の展開にも注目しております。メガファーマによるオープンイノベーションの取り組みは世界規模で加速し、産学官連携による創薬研究が国家レベルで進められています。日本のアカデミアの基礎研究力の高さは世界のトップレベルにあり、AMEDによる強力なリーダーシップのもとで、国の健康医療戦略に基づく研究開発がシームレスかつ戦略的に推進されていくことを期待しております。