国際アグリバイオ事業団 アグリバイオ最新情報【2015年12月】

(2016.01.14 18:00)

(編集部注)この記事は、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によるアグリバイオ最新情報【2015年12月】の日本語訳を掲載したものです。

世界

PNAS:2050年に世界中に食料を行き渡らせるには世界的革新が必要

 米Stanford大学のPaul Ehrlich氏とUniversity of CaliforniaのJohn Harte氏は、2050年に世界の人々に食料を行き渡らせるには世界的革新が必要とするとの意見記事を、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,PNAS)に出した。

  著者らは、人口増加と食糧不足の解決策として今までとは異なる政策を実施する必要があるとし、これには長期的な持続可能性のある良い作付体系の研究の拡大を挙げた。つまり健康、教育、女性の人権を促進することへの投資を増やし、これらへの障害を減らし、そしてこれらに焦点を当てた新しい経済システムへの移行の必要性を唱えている。

パリの気候変動協定で、食料安全保障が優先課題との認識示される

 国際連合食糧農業機関(FAO)は、パリの気候変動協定で「史上初めて、地球規模の気候変動協定で食料安全保障を取りあげたこと」を歓迎している。

 協定では以下の点が強調された。「食料安全保障を守り、飢餓を終わらせる点に基本的な優先順位を置く。特に、食料生産システムが気候変動の影響に脆弱な点を改め、気候変動の悪い影響に対する適応力を高め、食糧生産を脅かさないようにする」

 Jose Graziano da SilvaFAO事務局長は、「食料安全保障に言及することによって、国際社会は、気候変動の脅威の最前線にいる人たちの幸福と未来を守るために緊急の注意が必要であることを認めた」と述べた。

アフリカ

ザンビア政府が国家バイオセーフティ担当局を発足

 ザンビア政府は、国家バイオセーフティ局(NBA)を発足した。その核になる事業は遺伝的組換え生物(GMO)、またはその製品を規制することである。LusakaにあるRadisson Bluホテルで2015年11月26日、Michael Kaingu高等教育大臣らによる発足式が公式に行われた。現代のバイオテクノロジーの安全な応用な応用と利用によってザンビアが利益を得るよう、国家バイオセーフティ局は機能するようになると、大臣は述べた。

 Kaingu大臣は続けて、「NBAがバイオセーフティの認証や他の重要な事項に関する通知や手続き申請についての制度化を図ったので、全ての遺伝子改変技術や製品の開発、使用、および取り扱いについて安全性が確保される」と述べた。 2015年12月2日に開催された議会の会議の中で、議会のメンバーはKaingu大臣から、「当局はGMOの研究を監督する」との報告を受けた。「我々は、バイオテクノロジーの発展のための道筋を明確にした。科学者たちは、遺伝子組換え作物の規制と開発に一生懸命取り組んでおり、今やこれらを管理する能力を備えている」とも述べた。

 彼は、農業、畜産、水産省と共同で彼の省(高等教省)がバイオセーフティの枠組みと政策を設定している。また、高等教育大臣は、バイオテクノジーに関与する保健、土地、天然資源、環境保護省庁や地域自治や住宅省もバイオセーフティの枠組みと政策などの策定に含まれることを示した。

南北アメリカ

柑橘類の疾病抵抗性増強した遺伝子組換え品種を開発

 米Florida大学の研究者らは、緑化と呼ばれる病気に対する高い抵抗性を持つ遺伝子組換え柑橘類の品種を開発した。これはさらに瘤や黒点形成にも抵抗性を増す可能性がある。

 Florida大学食品・農業科学柑橘類研究教育センターで植物細胞遺伝学のJude Grosser教授が率いるチームは、シロイヌナズナから単離された遺伝子を使用して新しい品種を作成した。彼らは甘味オレンジの品種HamlinとValenciaを使用し、植物体全体にわたる獲得抵抗性(systemic acquired resistance 、SAR)と呼ばれる機構を使用して、病原体から守る品種を作成した。彼らの実験から緑化病への耐性と病害の軽減を図れることを示した。その中には、病害のある個体の多い土地に定植しても36カ月間も病害のないままのものもあった。

 シロイヌナズナの遺伝子を発現している個体の約45%は、緑化病を示さなかった。またそのうちの3系統には、緑化病害細菌は全く検出されなかった。対照の個体は、6カ月以内に緑化病害細菌の存在が陽性となり、試験の全期間にわたって陽性のままであった。

C4イネプロジェクトは高効率光合成イネ開発の第3段階へ

 米Oxford大学とその共同研究者は、他の作物からより効率的な形質を導入することにより、イネの光合成経路を改良するプロジェクトが第3段階に入ったことを明らかにした。プロジェクトの主要な目標の1つは、イネをC3光合成経路からC4にすることである。これにより光合成がより効率的になり、生産性を50%高めるだけでなく、窒素利用効率、水利用効率倍増し、しかも乾燥耐性を向上させることが予測されている。

 C4ライスプロジェクトの第1段階と第2段階は、C4経路の生化学的および形態学的要素を識別し、イネの既知のC4酵素の機能性を検証することに焦点を当てていた。プロジェクトの第3段階では、組み立てられた遺伝的道具立てを向上させ、C4経路の確立に関与する調節メカニズムを含むイネのC4経路の遺伝子工学を行う方向への筋道立てを検討する。

米国農務省、V11ジャガイモの非規制状態の延長を決定

 米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)は、V11スノーデンジャガイモの非規制状態を延長することを求めたJR Simplot社の申請を認めた。この遺伝子組換え (GE)ジャガイモは、低アクリルアミドと黒点病減少の特徴を持っている。 APHISの植物害虫に関する類似性評価は、V11のジャガイモが植物の病害虫リスクをもたらす可能性が低いため、もはや規制すべきではないことを示した。 APHISはまた、環境アセスメントを行い、有意な影響がない(FONSI)との結論に達した。

 APHISの文書によると「V11ジャガイモは、人間環境の質に、個別にまたは総体として、有意な影響を与えない。連邦政府がリストに記載している脅威種や絶滅危惧種には影響しない。リスト化が提案されているまたはそれらの指定や提案のある重要な生息種にも影響しない」とのこと。

高精度ゲノム編集技術、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を開発

 Plant Biotechnology Journal誌に掲載された論文で、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発(oligonucleotide-directed mutagenes; ODM)という新しいゲノム編集技術が、植物の重要な形質の開発を加速するための選択肢として紹介されている。論文によると、オリゴヌクレオチドは、細菌および真菌、哺乳動物、植物の染色体DNAのプラスミド、エピソーム、および染色体DNAの標的を編集するために使用できる。ODMは、米Cibus社が提供する迅速形質開発システム(RTDS)技術を用いた多くのツールの1つで、農業生産性の向上や、品種開発を加速することが課題となっている農業分野において、迅速、正確かつ遺伝子組換えでない(非トランスジェニック)育種手段を提供するものだ。

米農務省、遺伝子組換えトウモロコシMZHG0JGの規制緩和を延長
 米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)は、スイスSyngenta社が開発した除草剤耐性トウモロコシMZHG0JGの規制緩和の延長を発表した。同じGE形質は、以前に検討され、他のGEトウモロコシ品種で規制緩和されてきた。 APHISによる環境評価によると、HTコーンは環境にリスクをもたらさないことが分かった。この結果に関しては、2015年10月から111月にかけて公開検討が行われた。2015年12月2日にAPHISは、「HTコーンは非規制状態である」とし、これは「最も科学的に健全かつ適切な規制の決定」であると発表した。

アジア・太平洋

フィリピンのバイオテク関連イベントでジャーナリストや写真家を表彰

 2015年11月23日から28日にかけてフィリピンのダスマリナスで開催されたフィリピンバイオテクウイーク2015(NBW 2015)の祭典で、バイオテクノロジーへの普及に貢献したとして報道関係者や写真家が表彰された。

 NBW 2015のハイライトの1つは、11月25日に開催されたJose G. Burgos賞の表彰式である。この賞は、ジャーナリストや記者を対象に、科学の最先端を分かりやすく報じたことを表彰し、楯と賞金を授与するものである。ニュース部門は、フィリピンBusiness Mirror誌に掲載されたHenrylito Tacio氏による「Bt技術を理解し、これらを考える」と題した記事が1位だった。国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のブログとBusiness Mirror誌に掲載された、ISAAAのClement Dionglay氏による「遺伝子組換えトウモロコシが農民を地域のVIPにした」と題する記事は特別記事部門で1位に選ばれた。この事業は、フィリピンJ. Burgos Media Services社Biotechnology for Life Media、Advocacy Resource Centerが主催した。

 またNBW 2015の一環として、フィリピンの写真愛好家による作品を対象とするフォトコンテスト「遺伝子組換えに焦点を当てる」も開催され、受賞者の写真はNBW 2015のイベント中展示された。コンテストは、Southeast Asian Regional Center for Graduate Study and Research in Agriculture-Biotechnology Information Center (SEARCA BIC) とISAAAが主催した。

Arcadia Biosciences社とBGI社、イネ遺伝資源ライブラリーを作成
 米Arcadia Biosciences社は、食用作物の研究開発を進めるためのイネ遺伝資源ライブラリー作成を中国BGI社と共同で行う。BGI社とArcadia Biosciences社は、数百万の新しい対立遺伝子の塩基配列決定と解析を進め、イネの世界的規模での育種を行う。具体的にはArcadia Biosciences社の持っている独自の5000種のインディカ型イネ系統に焦点を当て、イネゲノム内の高頻度変異を解析する。

 BGI社は5000系統のゲノムDNA配列を全て決定し、オンラインで自由に利用できるようにする。イネ種子のデータはBGI社が運営する中国国家ジーンバンクで保存、公開し、研究結果と引き換えに研究者に系統を配布する。Arcadia Biosciences社は、窒素利用効率と耐塩性の開発の特徴を含む共同研究で生じる全ての研究結果に対する権利を保持することになる。

殺虫剤を代替する植物の自己防御化学物質を発見
 Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters誌に、一般的なイネの害虫である白ウンカを追い払うイネの防御機構を誘発する5個の化学物質を特定したとする論文が掲載された。植物は、自然の自己防御機構を持っており、環境に有害ではなく、また昆虫や天敵に対して毒性がない化学物質を生産できる。論文によると、中国のZhejiang Universityの研究者らは、植物の防御機構に切り替えを行う様々な化学物質を決定するために特別に設計されたスクリーニングシステムを使用。研究チームは、29 種のphenoxyalkanoic acid誘導体を設計、合成し、自己防御を誘発するのにる有効な5種を同定した。

 「我々は幾つかのphenoxyalkanoic acid誘導体が、イネの害虫である白ウンカから植物保護する可能性を持っていることを初めて実証した」と論文の著者の一人であり、Zhejiang University の教授であるYonggen Lou博士は述べている。

ベトナム政府、遺伝子組換え食品に関する新たな表示法を決定
 ベトナム農業農村開発省と科学技術省が発行した共同通達文書No. 45/2015/TTLT- BNNPTNT-BKHCNによれば2016年1月から、包装した遺伝的組換え(GM)食品に対して表示が義務づけられる。本通達の対象は、合計成分の5%パーセン以上GM成分を含む食品。

 総表示面積が10cm2以下になるGM製品には、生産者はラベルに「遺伝組換え」という言葉を入れる必要がある。不適切なラベルを持つ遺伝子組換え食品は、2016年1月以降生産や市場に出すことはできない。その時点で市場に残っている製品は、その消費期限までは流通が許可されている。生鮮のGM植物やGM動物、包装されていない遺伝子組換え食品や輸出用のみで製造されたものは、この規制の対象ではない。

遺伝子組換え作物商業化に関する先進国の経験の共有図る会議が中国で開催
 中国政府とアカデミア、メディア、業界関係者を交えて、バイオテクノロジーの普及を図るために、リスクコミュニケーションなどの情報共有を図る会議が2015年12月8日、北京のWestinホテルで開催された。会議には米国、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルの大使館などからも参加があり、参加者数は60人以上に上った。

 「政府と一般国民との農業バイオテク(AgBiotech)に関するコミュニケーション」と題するセミナーの開会挨拶で、中国科学技術開発センター(DCST)Ye Jiming次官(中国農業大臣MOA)は、「中国は遺伝子組換え(GM)技術を開発した世界で最も古い国の1つであり、過去にはかなりの栽培面積を持っていた」と指摘した。しかし、不十分なリスクコミュニケーションにより、ここ2年間程度は発展のスピードは落ちている。米国大使館農業大臣参事官Philip A. Shull氏は、「世界の人口に見合う食糧を提供することが重要であるとともに最も崇高な使命である」と強調。世界に食糧を提供する上でバイオテクノロジーが非常に重要な役割を担っているという事実を、一般国民も認識するべきであるとした。

 遺伝学・発生生物学研究所のZhen Zhu博士は、アグリバイオテクノロジーの科学コミュニケーションのプラットフォーム(PSCAB)として中国科学院が開始した活動や、GMO知識普及による効果を紹介した。オーストラリア大使館公使Anna Somerville博士とカナダ大使館公使Murray Gwyer氏は、バイオテクノロジーのリスクコミュニケーションに関する経験を報告した。元USDA APHIS規制官John Cordts氏は、規制の意思決定プロセスへの一般国民参加に関する米国のやり方を紹介。Du Pont Pioneer North Asia社のバイオテクノロジー規制および渉外担当上級マネージャーJudy Wang博士は、業界の観点からバイオテクノロジーコミュニケーションとして、中国CropLife社における取り組みを紹介した。

 オープンディスカッションのセクションでは、参加者が効率的で効果的なGMOのリスクコミュニケーションのために協力し、一般国民のバイオテクノロジーに関する知識や信頼を構築する方法について議論した。セミナーは、CropLife社とISAAA 中国バイオテクノロジー情報センターの支援の下で中国バイオテクノロジー協会が主催した。

ヨーロッパ

赤クロバーの遺伝子塩基配列を決定

 英ゲノム解析センター(TGAC)は、英Aberystwyth Universityの生物学、環境・農村科学研究所と共同で、蛋白質が豊富で、反芻動物のミルク中のオメガ3脂肪酸を増加させることが知られている赤クロバーのゲノムの塩基配列決定した。

 赤クロバーは、2から3シーズンは成長するが、家畜放牧を行うと十分に回復しない。伝統的な作物育種で同系交配すると活力と生殖能力の深刻な損失が生じ、育種の実践に向いていない。 TGACとIBERSでのプロジェクトは、放牧に耐性のある新しいエリート品種を育種するために赤クローバーの多様な自然系統をあつめて用いることを狙っているとともに赤クローバーを栽培化するプロセスの理解を目指している。

 TGACの研究リーダーであるJose de Vega氏は、「赤クローバーの参照ゲノムを公開することは大きな一里塚になる。それは、これがクローバー類飼料作物の最初のゲノム配列であるからだ。ゲノムの構築状況が分かることで飼料豆科作物のゲノミックスを基にした育種方法への道を開くことになる。また飼料作物の栽培化の遺伝学をより深く理解するためのプラットフォームを提供することになる」と述べている。

CRISPR法を用いた作物遺伝子の編集の成果を発表
 英国のJohn Innes CentreとThe Sainsbury Laboratoryの科学者らは、CRISPR法を2つの作物(ブロッコリーのようなアブラナ科作物やオオムギ)の特定の遺伝子を変更または編集するのに用いることができ、その編集結果が次の世代に保存されていることを示した。チームはまた、ゲノム編集時に使用された導入遺伝子を分離し、除去できることが分かったので、次世代では従来法で育種された植物とは見分けがつかないようになることも示した。

 オオムギでは、農業上重要な形質である種子の休眠に関与する遺伝子を編集したという。アブラナ科では、種子のさやの開列しやすさに影響を与える遺伝子を編集した。ともに標的遺伝子とのDNA配列の違いは、1-6塩基配列だけだった。これらの変更は、標的遺伝子の働きを阻害するに十分なものだった。

 編集処理は、導入遺伝子を用いて特定の標的遺伝子のDNA配列中に切れ込みを入れるものだ。植物自身の修復プロセスを使用して修復されたときにシーケンスの小さな変化が発生する。この研究では、編集部分は次世代の個体にまで受け継がれたが、ゲノム編集に使った導入遺伝子は含まれていなかったという。

スウェーデン農業委員会、CRISPR-CAS9はGMOの定義に該当しないとの見解
 CRISPR-Cas9は自然に起こることであり、生物の遺伝物質に正確に小さな変更を加えることができる新しい技術である。これは、植物科学および育種に利用できる幅広い可能性がある。スウェーデン農業委員会は、この新技術を使用して形質転換された植物は、欧州連合(EU)の遺伝子組換え(GM)の定義に該当でず、この技術を使用した植物は制限なく栽培できるとの見解を示した。アルゼンチンなどEU以外の国々も同様に、編集された植物が遺伝子組換え規制でカバーされないことを発表ている。EUは、この問題に関する決定をまだ出していない。

遺伝子組換え作物以外の話題

酵素生産組換えニワトリが米国での承認を取得
 米国食品医薬品局(FDA)は、卵中に薬物Kanuma(sebelipaseα)を産生するように遺伝子操作されたニワトリを承認した。Kanumaは、細胞内の脂肪分子を分解することができない珍しい遺伝疾患の治療薬で、遺伝子組換えヒト酵素として米Alexion Pharmaceuticals社が販売している。

 この薬剤は、薬物は、肝臓、脾臓、および血管系に脂肪を蓄積するリソソーム酸性リパーゼ欠損症を治療するために設計されたものである。乳幼児での疾患は、急速に致命的になる。高齢患者に影響を与える2番目の疾患は、肝臓肥大、線維症および肝硬変、ならびに心血管疾患を引き起こす。

 Kanumaは、米国市場で「農場生産製薬;farmaceuticals」と言われる成長群に加わるもので、この分野には抗血液凝固剤ATryn (antithrombin)をミルク中に生産する遺伝子組換えヤギや、遺伝的疾患の遺伝性血管浮腫の治療のための薬剤を生産する遺伝子組換えウサギがある。以前にFDAにより承認された遺伝子組換えにAquAdvantage鮭とは異なり、遺伝子組換えKanuma を生産するニワトリは、食料として供給するものではない。

Genus社とMissouri大学、不治の病に耐性のブタを開発
 ブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は、繁殖が止まり、体重が増加も止まり、高い死亡率となる疾患で、その病原体であるPRRSウイルスは1987年に最初に米国ブタで検出された。ワクチンは効果がなく、毎年北米農民に660万ドル以上の損害を与えている。米Missouri大学、米Kansas State大学、英Genus社からの研究者チームは、病気によって被害を受けないブタを育種した。

 科学者たちは、長年にわたりPRRSウイルスのブタへの感染経路の決定と、感染予防策を検討してきた。ウイルスは肺に吸入されると蛋白質sialoadhesinに付着すると考えられていたが、彼らはsialoadhesinを除去してもPRRSに対する感受性に影響を及ぼさないことを見いだした。第2の蛋白質CD163がウイルスの被膜を外し、その結果ブタに感染すると考えられるようになった。

 そこで研究チームは、CD163を作る遺伝子を編集して生成できないようにしたブタと、対照ブタとをウイルスに感染させ、CD163を産生しなかったブタが発症しないことを見いだした。しかもこのブタは、対照のCD163を産生するブタと比較して、発育などには何の変化もなかった。

バイオテクノロジー情報センター(BIC)から

インドネシアBIC、トウモロコシの研究拠点を訪問
 インドネシアの農家や政府機関の代表者、報道関係者などから成る24人の参加者は、インドネシアの都市Malangのトウモロコシ研究拠点や農場を2日間かけて訪問した。この訪問はインドネシアバイオテクノロジー情報センター(IndoBIC)、優良農民協会(NOFA)およびCropLifeインドネシアの共同主催であった。これは、インドネシアでトウモロコシの種子産業の概要を提供し、農家が直面している主要な問題や課題を特定することを目的とした。この共同努力は、問題を解決するうえで役に立つものである。

 参加者は、Malangで米Dupont社の研究拠点を訪れた。また、農家の畑地で意見交換を行った。参加者は、NOFA 会長のWinarno Tohir氏と農業における技術の役割について議論した。Tohir氏も、インドネシアのトウモロコシ栽培の将来性と特に農業部門の成功のための種子の重要性について議論した。

 CropLife社のYuana Leksana氏は、BPS-インドネシア中央統計庁のデータによると国内の食糧生産への作物種子産業の貢献を強調した。2009年から2014年にかけて、トウモロコシの生産性はコメとダイスに比べて最も増加(42%)していると述べた。生産性の向上は、生産設備、改良された栽培技術と遺伝的改良によっている。現在、ハイブリッドトウモロコシ種子がインドネシアで使用されている、しかし、現在遺伝子組換えトウモロコシが開発され、インドネシアのバイオセーフティ委員会が評価し、近い将来にリリースされる予定とされている。この技術は、高品質の種子を生産することができるので作物の生産性を向上させられるので大きな利点があると言える。

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