新型コロナウイルスの感染者は全世界で1000万人を超えるのは必至な情勢だ。未曽有の危機を前に、様々な企業が問題を解決するために必死に努力して、その成果を社会に向けて発信している。ただ、中には首をかしげるような発表も散見される。バイオ業界も例外ではなく、「この程度の内容でリリースを切るなんて見識を疑う」(大手製薬の広報担当者)という例も少なくない。

 中には明らかに株価をつり上げようとする不穏な動きもあるため、東京証券取引所が目を光らせている。ある上場バイオベンチャーのIR担当者はコロナ関連のリリースを発表すると、すぐに東証から連絡があった。発表内容について細かく尋ねた後、「代表取締役はそのデータを自分の目で確かめているのか」と念を押されたという。コロナバブルで株価が爆騰している企業がある中で、真面目にエビデンスを積み重ねている企業が割を食っている構図だ。

 もっともバイオベンチャーも必死だ。コロナ禍で事業環境は悪化しており、上場を維持するためにわらにもすがろうとしている。ある関係者は、「東証は低時価総額の企業も上場廃止にせず、放置してきた。だから、それを利用してひともうけしようとする輩が現われるのではないか。今こそ上場廃止のルールを見直すべき時だ」と指摘する。危機の時こそ、改革のチャンスなのかもしれない。