2017年8月30日にスイスNovartis社の抗CD19キメラ抗原受容体T細胞(CART)療法であるKymriahが米食品医薬品局(FDA)に承認された。CARTを用いた治療として世界初、遺伝子治療としては米国初の承認であり、遺伝子・細胞治療の分野にとって大きな一歩となった。Novartis社と提携し、Kymriahの基となるシーズを開発したのは米University of PennsylvaniaのCarl June教授。June教授が、慢性リンパ球白血病を対象として第2世代の抗CD19CART療法の臨床試験で有効性を示すデータを発表した2011年からわずか6年で承認まで至ったことになる。ここまでの道のりは、一見順調そうに見えるが、決して平坦ではなかった。特にここ数年は、CART業界に向かい風が吹いていたと言ってよいだろう。2016年には米Juno Therapeutics社の抗CD19CART療法の治験において複数の患者がサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome)の副作用により死亡。同プログラムの開発は中止された。さらには同年、Novartis社の細胞・遺伝子治療部門(Cell and Gene Therapy Unit)が解散され、この分野の勢いは衰えたかに見えた。

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