米国立衛生研究所(NIH)の組換えDNA諮問委員会(Recombinant DNA Advisory Committee:RAC)は、科学的、倫理的な観点や安全性の観点から遺伝子治療などを議論するため、1974年に設立された委員会。米国では長年、遺伝子治療の臨床試験開始に当たり、米食品医薬品局(FDA)だけでなく、RACでの審議を義務付けていた。

 最近では、米AveXis社(2018年にスイスNovartis社が買収)が脊髄性筋委縮症(SMA)を対象に開発した「ゾルゲンスマ」(オナセムノゲン アベパルボベク)の臨床試験などについても審議を行った。ゾルゲンスマはアデノ随伴ウイルス9型(AAV9)ベクターにSMN1遺伝子を搭載した遺伝子治療である。

 近年、RACの審査対象を先端的なものに限るなど、その権限は徐々に限られてはいた。ただし、AAVベクターを用いた希少難病に対する遺伝子治療の開発品などが増える中で、RACとFDAによる重複審査で開発に遅れが生じたり、RACとFDAの勧告内容が異なったりするなど、弊害が指摘されるようになり、2018年、NIHとFDAは声明を出し、RACでの審議が撤廃された。

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