過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は、器質的疾患を伴わず、腹痛や腹部不快感、便通異常が慢性もしくは再発性に持続する機能性消化管疾患のこと。症状は数カ月以上にわたって続くこともある。

 IBSは、機能性消化管疾患の国際的な診断基準であるRome IV基準によって、便秘型IBS(IBS-C)、下痢型IBS(IBS-D)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)の4つのサブタイプに分類される。IBSの有病率は10~20%程度。致死的な疾患ではないものの、日常生活が制限されることで患者の生活の質(QOL)が著しく低下する。

 IBSの詳細な発症メカニズムは明らかになっていない。ただIBS患者では、ストレスなどにより、腸の収縮運動が激しくなり、消化管が知覚過敏状態になることで、健常人と比較して、腹痛などの症状を起こしやすくなっていると考えられている。また、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合、回復後にIBSを発症しやすくなることも知られている。

 治療では生活習慣の改善に取り組む。刺激物やアルコールの摂取を控えるとともに、ストレスを抱えないように休養を取り、適度な運動を心掛ける。薬物治療では、患者の症状に応じて整腸薬や止瀉薬、抗コリン薬、下剤などを使用する。心理的な不安が強い場合は抗うつ薬や抗不安薬を併用する場合もある。