ゲノム編集技術を用いて、優れた特性(形質と呼ばれる)を持つように生物を品種改良(育種)すること。細菌や古細菌が外敵から身を守る免疫系を活用したCRISPR/Casシステムなどの登場により、生物のゲノムの塩基配列を簡便に改変できるようになってきた。生物のゲノム全体の塩基配列情報を解明する全ゲノム解読が次世代シーケンサー(NGS)の性能向上で短期間で実施できるようになった。ゲノムの全体像を把握した上で、ゲノム標的部位をピンポイントで改変する。

 塩基配列をどう改変すると、優れた形質になるのかがゲノム編集育種の事業化では重要だ。生物がもともと持っているゲノム情報を一部改変するだけでも、有用性が高い品種にできることはNGSの進歩と人工知能(AI)も駆使した形質評価技術のハイスループット化により分かってきた。

 そもそも人類は“枝変わり”など自然発生の生物の変異体を丹念に観察して選ぶことで、農作物や畜産物、林産物などの原料になる生物を育種してきた。技術的にはヒトの難病治療などにも応用できるが、実用化には生命倫理的に大きな課題がある。