NASH(nonalcoholic steatohepatitis)は、アルコールをほとんど摂取しない人が発症する脂肪肝(NAFLD)のうち、肝硬変や肝がんに移行する可能性のあるものを指す。

 詳細な発症メカニズムは不明だ。ただ、肥満や糖尿病、高脂血症などが原因で肝臓に脂肪が蓄積し、その後、サイトカインや鉄による酸化ストレスなどが原因で発症すると考えられている。また、腸内細菌叢や遺伝的要因、一部の薬剤の服用が発症に関わるとの推察もある。

 診断・鑑別では、肝生検による病理検査が行われる。脂肪沈着、炎症に関わる免疫細胞の浸潤、肝臓の線維化といった所見に加え、体内貯蔵鉄の指標や空腹時の血中インスリンの値などから総合的にNASHかどうか判断する。

 国内にNASHの患者は200万人以上いると推定されているが、今のところ確立された治療法は存在しない。そのため治療では、食事・運動療法が基本となる。また、病態に応じて糖尿病治療薬、肝庇護薬などを服用したり、肝移植を行ったりする。国内外で、様々なモダリティでNASH治療薬の研究開発が進められている。