腸管神経節細胞僅少症は、腸管壁内の神経節細胞が少ないために、腸管の蠕動運動や栄養の吸収に異常を来す先天性の消化器疾患で、指定難病の1つ。発症原因は不明だが、遺伝的背景は乏しいと考えられている。

 新生児期から発症し、病変部位は小腸から肛門までの広範囲に認められることが多い。主な症状として、腸管の内容物の停滞による腹部膨満や嘔吐、排泄の遅延などが認められる。また、腸内細菌の異常な増殖に起因する腸炎や敗血症を起こすこともある。

 同疾患の治療・管理では、中心静脈栄養などによる栄養管理を行いつつ、腸管内を減圧することが基本となる。腸管の内容物を取り除くために人工肛門を造設する必要があるが、患者によって病変部位や重症度が異なるため、適切な位置に造設するのは難しい。また、唯一の根治術である小腸移植は、術後の強い拒絶反応などが問題となる。

 現在、腸管の神経節細胞と発生学的に同じ細胞を起源とする歯髄幹細胞を投与し、神経節細胞の機能を補う治療法の開発が進められている。歯髄幹細胞は間葉系幹細胞の一種で、歯髄組織にわずかに含まれる。歯髄幹細胞のマスターセルバンクを保有するジーンテクノサイエンスによって基礎研究が進められており、2020年3月には、持田製薬と同疾患に対する再生医療等製品の共同事業化契約を締結した。