ヒト白血球抗原(HLA)は、白血球をはじめとする細胞の血液型を表す分子。赤血球を除く、全身のほぼ全ての細胞に発現し、自己と非自己(ウイルスや細菌、がんなど)を識別し、免疫機構に重要な役割を果たしている。複数の抗原の組み合わせから構成される上、それぞれの抗原に数十種類のパターン(アリル)があるため、血液型とは違い、数万通りの組み合わせ(型)がある。

 ウイルス感染においては、ウイルス感染細胞のHLAが、ウイルス蛋白質由来の断片を細胞傷害性T細胞などに提示。それを起点に、細胞傷害性T細胞など様々な免疫細胞が、ウイルス蛋白質を認識するようになり、様々な免疫反応が引き起こされる。ただ、今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)では、HLAを介した免疫反応の結果、一部の感染者において、本来自己を守るために働くはずの免疫機構が暴走し、サイトカインストームのような非常に強い免疫反応が起きて重症化すると推定されている。感染が重症化するかどうかに、HLA型が関わっている可能性を指摘する研究者も少なくない。世界では、HLA遺伝子を解析し、HLA型と重症化の関係を調べる研究が活発化している。