筋肉増殖を負に制御する因子。主に骨格筋で合成され、骨格筋の増殖を抑制する。1997年に論文発表された。分子量2万6000程度の糖蛋白質で、アミノ酸残基数109のダイマーであり、アミノ酸配列はヒトとマウス、ラットで同一だ。

 ミオスタチンの機能発現が低いと筋肉量が多く、高いと筋肉量の減少/消耗につながる。血中のミオスタチン濃度はアンチエイジングマーカーになる。ミオスタチンの機能阻害は、神経筋疾患の治療標的とされ、短距離走などの運動機能を高めるドーピングの対象でもある。

 ミオスタチン遺伝子の機能欠損により、筋肉が隆々になった「ダブルマッスル」の変異体は動物で広く知られる。ベルギー発の肉牛品種Belgian Blueは、ミオスタチン関連筋肉肥大の変異を固定化した品種で、赤身が多い。日本短角種ウシの一部で見られる筋肉肥大(豚尻と呼ばれる)の原因遺伝子は、欧米で特定された11種のミオスタチン遺伝子変異の1つだった。

 ゲノムの標的部位を切断して遺伝子などの機能を欠損させるゲノム編集技術により、ミオスタチンの機能を低下させることで、筋肉の量が多い品種を育成する研究が多くの動物で取り組まれている。魚類では、日本でマダイにて先駆的な取り組みがなされ、ニジマスなどが続いている。