炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease:IBD)は、消化管の粘膜に慢性の炎症またはそれに伴う潰瘍を引き起こす疾患の総称。一般に潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の2疾患を指す。両疾患は類似している点も多いが、それぞれ独立した疾患と考えられている。IBDは10歳代後半から30歳代前半の若年者に好発し、下痢や血便、腹痛などの症状を引き起こす。IBDの発症原因や詳細なメカニズムは分かっておらず、根治療法も無い。また、一度症状が寛解しても再燃するケースが多い。

 IBDの薬物治療は、炎症を抑え、症状の再燃を防ぐことが基本となる。従来、炎症を抑えるために5-アミノサリチル酸(5-ASA)や副腎皮質ステロイドが用いられてきたが、昨今は抗TNFα抗体をはじめとする生物学的製剤の登場により、治療の選択肢が広がった。