新薬の特許満了に伴って、売上高が急落すること。特に後発品への切り替えが急速に進む米国市場において落ち込み方が激しく、その落差の大きさから「崖(クリフ)」と表現されるようになった。このため、米国市場で成功した薬を持つ企業ほど、大きな崖をどう乗り越えるかに頭を悩ませることになる。

 大型品を持つ企業はその特許切れをにらんでパイプラインの充実を図ることになるが、当てにしていた候補品の開発に失敗すると大幅な人員削減を実施したり、多額の資金を投じて後期開発品を導入したりする必要に迫られる。塩野義製薬のように、ライセンス先との契約を見直してロイヤルティーの料率を低くする一方、長く受け取れるようにすることで、「崖」を低くして影響を抑えた事例もある。

 第一三共は2017年度に降圧薬「オルメテック」の特許切れにより、800億円近くの売上高を失った。アステラス製薬は2019年度に過活動膀胱治療薬「ベシケア」と抗癌剤「タルセバ」などの特許満了により、期初の予想では2019年度の売上高が前年度より6.3%減少して1兆2240億円になるとした。また、武田薬品工業は、2024年度までに注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセ」、多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」、降圧薬「アジルバ」の特許切れに直面するとしている。