従来の医薬品開発では、治療効果の評価として医学的な指標が重視されてきた。血液検査や画像検査の結果などであれば客観的なデータとして評価できるので、被験者自身の主観的な要素が入りにくいというメリットがある。ただ、最近では被験者の主観的な指標にも目が向けられるようになってきた。これを患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome:PRO)と呼ぶ。

 具体的なPROとしては、痛みや口の渇きそして倦怠感などの自覚症状や、歩行などの身体機能に対する自己の主観がベースとなる。近年の研究では、医療者による症状評価(NCI-CTCAE)は、患者自身が感じている評価(PRO-CTCAE)よりも過小に評価されやすいという報告もある。

 スマートフォンやウエアラブル端末などデジタル機器が浸透してきたことで、治療中のPROをより効率的に集められる環境も整ってきた。患者が日常生活の中で感じた痛みなどの自覚症状も、常に携帯しているデジタルデバイスであれば時間や場所なども含めて正確に記録しやすい。紙の患者手帳を介して収集されていた手書きのPROも、デジタル機器を使えばリアルタイムに集めて、分析することもできる。クラウド上でPROを共有する仕組みを、ePROと呼ぶこともある。