細胞膜透過性ペプチド(Cell Penetrating Peptide:CPP)は、細胞膜を通過し細胞内に移行可能なポリペプチドのこと。多くは10から100程度のアミノ酸で構成されている。

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の転写制御に関わるTransactivator of transcription(TAT)蛋白質が細胞膜透過性を示すことが発見されて以来、天然の蛋白質由来ペプチドから合成ペプチドを含め100種を超えるCPPが報告されている。

 一般にCPPの細胞膜透過性はCPPの塩基性に正の相関を示すことが知られており、特に塩基性アミノ酸であるアルギニンが重要であるとされる。現在、研究などに広く使用されている多くのCPPにもアルギニンが含まれている。CPPの細胞膜透過のメカニズムとして、マクロピノサイトーシスと呼ばれるアクチン依存性の特殊なエンドサイトーシス(膜動輸送による細胞内への取り込み)が関与することも分かってきた。

 日本大学薬学部の金沢貴憲専任講師らはHIVの持つTAT蛋白質のRNA 結合領域(48-60位)である「Tat peptide(48-60)」によって表面を修飾した高分子ミセルを調製。ペプチド鎖にアルギニンを含むため表面に正電荷を帯びた同ミセルと、負電荷を持つsiRNAの複合体として中枢へ送達させる研究に取り組んでいる。