「不稔=生殖できないこと」の原因がオス側にあることを意味する「雄性不稔」の性質を遺伝的に有する「雄性不稔性」が、「細胞質」に支配されていることを意味する。メス側の不稔は「雌性不稔」という。

 雄性不稔性が細胞質のみに支配される「細胞質単独型」では、細胞質の小器官であるミトコンドリアに雄性不稔の原因があり、この雄性不稔は母性遺伝を示す。プロトプラスト培養で生じるゲノム変異によって出現した雄性不稔変異体が知られる。

 一方、雄性不稔性が核遺伝子に支配される場合は「核遺伝子型」という。この雄性不稔はメンデル遺伝を示す。これらの核遺伝子の発現は細胞質の影響を受けない。

 細胞質の雄性不稔への関与には、特定の核遺伝子と細胞質の相互作用により発現する雄性不稔である「核細胞質型」もある。上記の細胞質単独型の雄性不稔性では、雄性不稔発現遺伝モデルに核遺伝子が登場しない。

 この分類は遺伝モデルに基づく分類であり、原因遺伝子の分子的実体を考慮したものではない。今回、東京大学と東北大学、玉川大学の共同研究グループが確立したミトコンドリアのゲノム編集技術は、細胞質に支配される雄性不稔の分子的実体の解明に寄与する。