肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)は、初代培養肝細胞の増殖を促進するサイトカインとして、1980年代に劇症肝炎患者血漿から単離精製され、その後、cDNAがクローニングされた。1本鎖の非活性型(pro-HGF)として分泌され、プロテアーゼで切断されて、軽鎖と重鎖がジスルフィド結合したヘテロ二量体から成る活性型HGFに変換される。

 その後の研究から、HGFが細胞増殖促進、細胞遊走、細胞死抑制、抗線維化、血管新生など、組織・臓器の再生・修復を担う多様な機能を持っていることが明らかになっており、様々な疾患を対象に治療応用のための研究開発が進められてきた。

 2019年3月26日には、ヒト肝細胞増殖因子(HGF)をコードするcDNAを含むプラスミドであるアンジェスの「コラテジェン筋注用」(ぺペルミノゲンペルプラスミド)が国内で条件期限付き承認を獲得した。効能・効果は、標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症およびバージャー病)における潰瘍の改善。また、2019年3月22日には、クリングルファーマ(大阪府茨木市、安達喜一代表取締役社長)が急性期の脊髄損傷の患者を対象に実施していた肝細胞増殖因子(HGF)蛋白質(KP-100IT)のフェーズI/IIで、有効性を示唆する結果が得られたと発表した。