アミノ基とカルボキシ基の両方の官能基を持つ有機化合物であるアミノ酸は、右手と左手の関係のように、互いに鏡に映すと同一になる構造のものが存在する場合が多い。片方をL体、もう片方をD体と呼ぶ。蛋白質を構成する20種類のアミノ酸のうちでは、グリシンを除く19種類のアミノ酸には、L体とD体とがある。

 生体を構成するアミノ酸はほとんどがL体で、D体は細菌のペプチドグリカンの構成成分など限られていると考えられてきたが、分析技術の進歩により、ヒトなどの生物にも様々なD体アミノ酸が存在することが分かってきた。遊離のアミノ酸だけでなく、蛋白質を構成するアミノ酸残基にもD体が存在する。このようなD体アミノ酸が、疾病と関連することが次々と分かっており、バイオマーカーとしても注目されている。

 D体アミノ酸の分析法の開発では、日本の研究グループが世界をリードしている。2004年にD-アミノ酸研究会が日本で発足し、2013年には日本学術会議協力団体に認定され、名称をD-アミノ酸学会へと改めた。毎年学術講演会が開催され、D-アミノ酸研究国際会議が09年と2014年に日本で、2017年にイタリアで開催された。