原核生物(真正細菌や古細菌)の獲得免疫機構として機能するシステムの一部であるCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatsの略称)を利用したゲノム編集ツールの1つ。大阪大学が知的財産化を進めている。

 CRISPRは、原核生物がファージやプラスミドなどの外敵に対抗するのに利用するシステムにおいて、外敵のDNAの一部を自身のゲノムに組み込んでおき、次に同じ外敵が攻撃してきたときに外敵DNAを分解する。真正細菌の5割程度、古細菌の9割以上がCRISPRを持つことがゲノム解読で分かってきた。

 外敵DNAの分解は、Cas蛋白質(CRISPR-associated proteinsの略称)が任う。Cas蛋白質は十数タイプが知られ、各タイプは作用メカニズムの共通性から3つのクラス(IとII、III)に分類される。最も広く用いられているCas9蛋白質はクラスIIに分類される。今回発表されたCas3蛋白質はクラスIに分類される。Cas9蛋白質よりもCas3蛋白質の方が、より多くの原核生物に存在することが知られている。

 Ca3蛋白質は強力なヘリカーゼ活性とヌクレアーゼ活性があるため、CRISPR/Cas3システムを作用させると、数百塩基から数千塩基を欠損させることができる。標的部位を切断して標的遺伝子の機能を破壊するノックアウト(KO)の効率が高い。また、認識する塩基配列の長さが、CRISPR/Cas9よりも長いため、ゲノムの標的部位以外に作用してしまう“オフターゲット作用”が少ないという特徴があるとされる。