牛乳からチーズを製造するときに用いられる酵素製剤の主要成分で、凝乳酵素とも呼ばれる。

 チーズは人類最古の加工食品。紀元前6000年前後にヒツジやヤギが家畜化され、乳を保存する入れ物として家畜の胃を利用する中で偶然、乳がカード(凝乳)とホエー(乳清)に変化して、カードから作られるチーズが保存食として用いられるようになった。胃に残存していたプロテアーゼが乳成分に働き掛けてカードができたのである。

 デンマークChr.Hansen社が1874年に販売を開始したチーズ製造用酵素レンネットは、産業用酵素の世界最初の製品とされる。子牛の第4胃から抽出される製剤はカーフレンネットと呼ばれ、チーズ製造用に適した性質を持つが、子牛の第4胃からの抽出物だと供給量が限られる。

 カーフレンネットと同じような凝乳活性を持つ酵素が微生物から見いだされ、微生物レンネットとして実用化されている。1967年に微生物レンネットの商業生産を開始した名糖産業は、そのパイオニアだ。微生物レンネットは現在も利用されている。その後、90年代からは、遺伝子組換えキモシン製剤が実用化された。ウシのキモシンの遺伝子を、食経験が豊富な微生物に導入して、ウシキモシンを大量生産した製剤だ。